1年のトレンドを占う1月相場の行方は? (3) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】

配信元:株探
投稿:2026/01/19 13:31

●注目点

 ○米連邦公開市場委員会(FOMC)は賛成9名、反対3名で、3回目となる0.25%の利下げを決定し、政策金利の誘導目標を3.50~3.75%としました。1月の会合では、4回目の利下げは見送られる見通しで(先物に基づく利下げ確率は22%)、3月利下げの確率は50%となっています。イングランド銀行は政策金利を0.25%引き下げて3.75%としており、市場関係者は更なる利下げを見込んでいます。日銀は政策金利を0.25%引き上げて0.75%としました。欧州中央銀行(ECB)は主要金利を据え置きました(預金金利が2.00%、リファイナンス・オペ金利が2.15%、限界貸出ファシリティー金利が2.40%)。

 ○発経済指標の発表が再開され、11月の雇用統計は非農業部門雇用者数が6万4000人増となりました。政府効率化省(DOGE)によるレイオフは15万7000人の雇用削減と算定されました。失業率は前回の4.4%から4.6%に上昇し、時間当たり平均賃金の前年比伸び率は前回の3.7%から3.5%に低下しました。週間新規失業保険申請件数は23万人未満と許容範囲の水準となりました。消費者物価指数(CPI)は2%台の緩やかな上昇で、コア指数の上昇率は前年同月比で前回(9月)の3.0%から2.6%に低下しました。

 ○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)は、オルタナティブ資産運用会社のアレスマネジメント(S&P1500総合指数シリーズに新たに追加)、建設資材メーカーのCRH(同様に同指数シリーズに新たに追加)、自動車小売りのカーバナ(同様に同指数シリーズに新たに追加)、産業建設サービス企業のコンフォート・システムズUSA(S&P中型株400指数から移行)をS&P500指数に追加し、加工食品メーカーのケラノバ(マースにより買収)、自動車部品の卸売りを手掛けるLKQ(S&P小型株600指数に追加)、特殊化学品メーカーのソルスティス・アドバンスト・マテリアルズ(S&P小型株600指数に追加)、床材メーカーのモホーク・インダストリーズ(S&P小型株600指数に追加)をS&P500指数から除外しました。

●S&Pリサーチ:11月の投稿、メーリングとリサーチ(spglobal.comを参照)

 S&P500指数 は7年連続で2桁台のプラスあるいはマイナスのトータルリターンを記録し、7年のうち6年で2桁台のプラスのトータルリターンを記録しました。S&P500指数の2025年のトータルリターンは、2023年のプラス26.29%、2024年のプラス25.02%に続いて、プラス17.88%となり、3年間の累計ではプラス86.11%(年率でプラス23.01%)となりました。2022年はマイナス18.11%で、それ以前は2021年がプラス28.71%、2020年がプラス18.40%、2019年がプラス31.49%と、3年連続で2桁台のプラスのタールリターンを記録していました。2019年から2025年まで7年間ではプラス205.37%で、年率ではプラス17.29%と驚異的な水準を記録し、7年のうち6年でリターンがプラスとなりました。

 S&P500指数の2025年第3四半期決算の決算発表は終了して最終的な数値の確認が行われており、1月5日から始まる第1週の週末に公表が予定されています。499銘柄が第3四半期決算を発表し、499銘柄中407銘柄(81.6%、過去10年間の平均は75.0%)で、営業利益が予想を上回りました。営業利益は過去最高を記録した2025年第2四半期から12.5%増、前年同期比では21.8%増となり、四半期の過去最高を更新しました。2025年第3四半期は、497銘柄中376銘柄(75.7%)で売上高が予想を上回りました。売上高も過去最高を更新し、過去最高を記録した2025年第2四半期から3.5%増、前年同期比で6.0%増となりました。2025年第3四半期の営業利益率は第2四半期の12.46%から13.55%に上昇し、(暫定値の段階で)過去最高を更新しました(従来の過去最高は2021年第2四半期の13.54%)。1993年以降の平均は8.74%です。

 個別銘柄レベルでの株式数の減少による1株当たり利益(EPS)への影響を見ると、2025年第3四半期に株式数の減少によりEPSが大きく押し上げられた発表済みの銘柄の割合は17.6%となっています。この割合は、2025年第2四半期は17.3%、2024年第3四半期は13.6%でした。

 2025年第4四半期に関しては、決算期がずれる19銘柄が決算を発表し、16銘柄で営業利益が予想を上回り、18銘柄中14銘柄で売上高が予想を上回りました。2025年第4四半期の営業利益は過去最高となった2025年第3四半期から3.2%減(四半期として過去2番目に高い水準)、前年同期比では13.9%増が予想されています。2025年通年の利益は前年比12.98%増と過去最高の更新が見込まれており、これに基づく2025年予想株価収益率(PER)は26.2倍です。2026年通年の利益は前年比18.1%増が見込まれており、予想PERは22.2倍です。

 S&P500指数の2025年12月の配当支払額は前年同月比で9.2%増加しました。11月は同1.7%減、10月は同1.5%減でした。2025年第4四半期の株主への配当支払い金は1株当たり20.25ドルと四半期としての過去最高を更新し、前四半期(19.808ドル)から2.3%増、前年同期(19.810ドル増)から2.2%増となりました。2025年通年のS&P500指数の配当支払い金は1株当たり78.92ドルと、2024年の74.83ドルから5.46%増加して過去最高となり、16年連続での増加と14年連続での年間の過去最高を記録しました。12月の配当支払い金は1株当たり7.78ドルと、前年同月の7.12ドルを上回りました。

 2025年12月は、増配が32件、配当開始が1件、減配が2件、配当停止が0件でした。対して、2024年12月は増配が38件、配当開始が2件、減配が1件、配当停止が0件でした。2025年通年では、増配が358件、配当開始が7件、減配が11件、配当停止が1件となっています。2024年は、増配が342件、配当開始が8件、減配が15件、配当停止が2件でした。

 S&P500指数の自社株買い額は、2025年第1四半期に過去最高(2935億ドル)を更新し、第2四半期に不確実性が高まる中で20.1%減少(2346億ドル)した後、第3四半期は2490億ドルと6.2%の小幅な増加となりました。第4四半期の自社株買いへの支出は同様の伸びになると予想されています。

 S&P DJIは2025年第3四半期のS&P500指数の自社株買いに関するプレス・リリースを発表しました(www.spglobal.com/spdjiを参照)。S&P500指数構成企業は、第1四半期に過去最高を記録し、第2四半期に不確実性や関税、経済政策を背景に自社株買いを控えた後に、第3四半期に再度自社株買いへの現金支出を増やしました。第2半期に20.1%減少した後の第3四半期における6.2%の増加は、企業の間で現金支出への慎重なアプローチが継続していることを示しています。自社株買いを実施した企業の割合は、第2四半期の67.6%から66.6%に低下し、2025年第1四半期の76.8%からはなお大きく見劣りしています。

 自社株買い額上位20銘柄への集中度は第2四半期の51.3%から49.5%に低下しましたが、依然として過去平均の47.8%を上回っています。注目すべき点として、アップル、エヌビディア、アルファベットC、メタ・プラットフォームズの上位4銘柄がS&P500指数の2025年第3四半期の自社株買い総額の22%超(552億ドル)を占めました。自社株買いが継続した結果、株式数が減少し、この点も個別銘柄レベルのEPSの拡大を後押ししました。17.1%の銘柄で株式数が前年同期比で4%以上減少した結果、EPSが4%以上押し上げられました。こうした傾向は、利益とキャッシュフロー、および株価の水準に左右されるものの、短期的に続くことが予想されており、銘柄レベルのEPSに対する追加的な支援材料になるでしょう。

 第4四半期は、政策の方向性は明確になり始めたものの、不安定な状態が続いた結果、企業を取り巻く不確実性は継続し、裁量的な自社株買いへの支出は抑制されています。第4四半期の自社株買いは緩やかなペースでの増加基調を維持した模様ですが、2025年第1四半期の過去最高の水準は引き続き下回りました。

 2025年通年では、S&P500指数構成企業の自社株買いと配当を通じた株主還元額は優に過去最高を更新したと予想され、自社株買い額は前年比で2桁近い増加、配当額は1桁半ばの増加が見込まれています。2026年の自社株買いに関する当初の見通しからは、企業が自社株買いへの支出拡大を計画していることが示されており、企業の予想キャッシュフローがこうした計画を支えています。配当支払額は2026年に過去最高を再度更新することが予想されており、問題は従来の最高をどの程度上回るかです。

 1%の自社株買い税が管理可能な費用であることに変わりはなく、自社株買い全体に影響を及ぼしていません。現時点で、自社株買い税の拡大は政府の検討事項とはなっていない模様ですが、つなぎ予算が2026年1月30日に期限を迎えることから、状況は急変する可能性があります。現在の企業のコストに対する感応度を踏まえ、2%の課税は自社株買いと株式数の減少を通じたEPSの押し上げの双方に影響を及ぼすと見られています。潜在的な増税の下で、自社株買いへの支出の一部が配当に切り替えられる可能性がありますが、配当は企業予算に組み入れるべき長期の純粋なキャッシュフロー項目であるため、自社株買いの削減額がそのまま全て配当に振り向けられることはないとみられています。

 市場において2ヵ月連続でバリュエーションの見直しと銘柄の入れ替えが進む中でも(S&P500指数は12月に0.05%下落、11月は0.13%上昇)、アナリストは強気を維持しています。S&P500指数のボトムアップの1年後の目標株価は11月の7896から8001に上昇し、アナリストは16.90%の上昇を見込んでいます。ダウ平均の目標株価も11月の5万2950ドルから5万3339ドルに上昇し、向こう1年間で10.3%の上昇が見込まれています。


[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト


※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。

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