ヤマタネ Research Memo(5):2026年3月期はコメ卸売販売の好調な業績を反映し、通期業績予想を上方修正

配信元:フィスコ
投稿:2026/01/20 12:05
*12:05JST ヤマタネ Research Memo(5):2026年3月期はコメ卸売販売の好調な業績を反映し、通期業績予想を上方修正 ■今後の見通し

1. 2026年3月期の業績見通し
ヤマタネ<9305>は、2026年3月期の業績予想を2025年11月に上方修正し、売上高は93,770百万円(前期比15.9%増)、営業利益は5,710百万円(同51.1%増)、経常利益は5,130百万円(同40.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,940百万円(同59.8%増)としている。2025年8月に次ぐ2回目の上方修正であり、今回は中間期に実施したM&A(農産ベストパートナー及びしん力)や、食品カンパニーのコメ卸売販売業における好調な業績見通しを反映した。

業績予想達成の成否は、食品カンパニーのコメ卸売販売業の業績動向がカギを握る。同社は令和7年産米の販売価格は高止まりを予想するものの、米価の高止まりに対する消費者の動向や、政府の総合経済対策の効果などの不確定要素も存在する。同社は仕入コストの増加に対して適切な価格転嫁を行うとともにコメの安定供給に努める考えだが、そうした状況から通期業績については保守的な見通しを立てている。したがって、想定外の要因がない限り、業績予想達成の確度は高いと見られる。

売上面では、食品カンパニーではコメ卸売販売業において、下期は備蓄米の精米作業の受託はないと見込んでいるが、子会社化した農産ベストパートナーやしん力の業績寄与が期待できる。卸・販売業を営む両社は九州産のコメを年間約4,000トン扱い、「こめたつ」というeコマースブランドを有し、eコマースビジネスに強みを持つ。「米すたいる」「フーデリッシュ」とのシナジーにより、eコマース事業のグループ全体での強化が期待される。特に、しん力は「中米」(選別時に生じる規格外のコメ)を取り扱っており、精米販売とは異なる販路の拡大が期待される。当面は金額での業績寄与は大きくないものの、事業シナジー創出の進展が注目される。物流カンパニーは引き続きコストの価格転嫁を着実に進めるほか、ヤマタネドキュメントマネジメントやキョクトウの業績寄与が期待される。情報カンパニーは地方拠点における顧客開拓を推進する。不動産カンパニーは下期においても安定した業況が見込まれる。

利益面では、食品カンパニー等における増収効果が見込まれることで営業利益は大きく増益を予想するが、経常利益については資金調達に伴うシンジケートローン手数料の計上を想定しており、営業利益に比して増益幅は縮小する見込みだ。親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の売却や山種不動産(株)の吸収合併による非支配株主持分がなくなったことなどにより大きく増益を見込む。

2. セグメント別の業績見通し
(1) 物流カンパニー
物流カンパニーの通期業績予想は期初予想から引き上げ、売上高26,560百万円(前期比6.6%増)、営業利益は2,550百万円(同56.9%増)を見込む。売上面では、一部荷主の解約の影響はあるものの、物流コスト上昇分の価格転嫁が引き続き進む見通しだ。加えて、新たに連結対象となったヤマタネドキュメントマネジメントのアーカイブ事業やキョクトウの電子化事業の業績寄与が見込まれる。利益面では価格転嫁の効果に加え、物流不動産の流動化による事業益を見込む。また、上期に実施した取扱量に応じたリソース配分の最適化に加え、ヤマタネドキュメントマネジメントやキョクトウとの組織統合によるコスト効率化も期待される。

(2) 食品カンパニー
食品カンパニーの通期業績予想は期初予想から引き上げ、売上高60,930百万円(同22.9%増)、営業利益3,910百万円(同66.3%増)を見込む。同社は、令和7年産米の販売価格は下落傾向であるものの、一定の価格を維持すると見込んでおり、業績予想達成の確度は高いと見られる。原料調達は、従来どおり安定供給に向けた対応を進める。令和7年産米は仕入コストの増加が予想されるが、販売価格に適切に転嫁して対応する。なお、中間期において増益要因となった備蓄米の精米事業については、下期にはく落する可能性もあり、予想には織り込んでいない。

加工食品卸売業のショクカイについては、引き続きコメ卸売販売の販路を活用した販売機会の拡大や冷凍食品の高付加価値といった施策を展開し、業績向上につなげる。また、2025年9月にはT.M.Lの株式の一部取得を発表した。T.M.Lが特許を持つ「ソフトスチーマー」の技術を活用して、ショクカイとT.M.Lとの協業による新商品の開発・販売に取り組む。業績面の寄与には一定の時間を要する見通しだ。

(3) 情報カンパニー
情報カンパニーは期初予想から売上高が微減、利益はほぼ倍増となり、売上高1,710百万円(同2.4%減)、営業利益は110百万円(同139.1%増)を見込む。上期は大口開発案件が減少した一方で、運用支援業務の拡大や地方拠点進出による顧客開拓を実施し、一定の成果を収めた。客先常駐案件の一部縮小があるものの、下期においても顧客開拓を継続する方針であり、業績予想の達成を目指す。また、利益面ではオフィスライセンス一括購入費用がはく落することも寄与する。地方拠点への進出については、中部・近畿圏を中心に汎用機を利用する顧客の開拓を図る。併せて、同社の物流や食品事業の業務ノウハウを活用して課題を持つ顧客への提案型のセールスを推進する。

(4) 不動産カンパニー
不動産カンパニーでは、期初予想から売上高が微減、利益は微増となり、売上高4,570百万円(同1.8%減)、営業利益は1,930百万円(同1.2%増)を見込む。一部テナントの解約を見込むものの、これまでの稼働率の実績から安定した収益計上が見込まれる。利益面では前期に計上した山種不動産の吸収合併に伴う登録免許税等の一時費用がなくなることにより、増益を予想している。賃貸事業が中心であることから、業績予想の確度は高いと見られる。所有物件の高稼働率維持のため、付加価値や安全性の維持向上策を継続するとともに、不動産流動化事業や越中島開発事業を推進し、中期経営計画に定める目標達成を目指す。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)

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