明日の株式相場に向けて=レアアースなど需給相場の急所を見極める
きょう(21日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比216円安の5万2774円と5日続落。朝方は先物主導で大きく下放れ800円近い下げで5万2000円台攻防の様相となったが、典型的な寄り底となり、その後は一定のリズムで階段を上るように戻り足に転じた。米国同様に日本もトリプル安懸念が取り沙汰されているが、きょうのところは10年債はもとより、20年債、30年債などの超長期債も買いが優勢であり「日本版トラス・ショック」の煽りは入らなかった。もとより、ここ最近の金利上昇が危機的なニュアンスで報じられるが、バブルの頂点とされた1989年12月末の長期金利の水準は5.72%だった。今は2.28%である。「金利のある世界」にやっと足を踏み入れたという時間軸で、「27年ぶりの高水準」という文言に騙されてはいないか改めて考える必要がある。きょうは取引開始時点からキオクシアホールディングス<285A.T>が上値を指向する展開となったことが大きい。売り方目線で日経平均を押し下げるには構成比率トップのアドバンテスト<6857.T>をはじめ東京エレクトロン<8035.T>、あるいはソフトバンクグループ<9984.T>といったAI・半導体関連の主力どころを売り叩けば事足りるが、キオクシアが大商いで水準を切り上げるのを横目に半導体株を叩くのは難しい地合いとなった。キオクシアは225採用銘柄ではないが、それでもきょうの日経平均を支える立役者だったといってもよい。売買代金も大引け時点で7000億円を上回るという大活況、AI人気全盛の中にあって一時は隅に追いやられていた半導体メモリーの復権を如実に印象づけている。
キオクシア効果を期待したメモリー関連株という切り口では、引き続きミナトホールディングス<6862.T>などの押し目を丁寧に拾っておくのが有効だが、きょうは半導体商社のトーメンデバイス<2737.T>が大陽線で上場来高値を更新、未踏の1万4000円台に乗せてきた。この流れで、半導体商社であるとともにメーカー機能も併せ持つイノテック<9880.T>にも目を向けておきたい。サポートラインとして意識される25日移動平均線絡みまで下押してきた2100円近辺の株価は、買い場提供となっている可能性がある。
中国界隈といえるレアアース関連では、テーマ買いのフロントランナーとなっていた東洋エンジニアリング<6330.T>が前週末16日につけた大陰線を境に利食い急ぎの動きを誘発し、下値模索の展開を余儀なくされているが、ひとたび全員参加型仕手株の素地を開花させた以上はすぐに火種が消失することもなさそうだ。信用取組は売り長で信用倍率は0.7倍。また、日証金では貸借倍率0.21倍で株不足により逆日歩がついている状態にあり、貸株規制の対象となるなど需給的な側面からリバウンドのタイミング待ちといえる。ファンダメンタルズ(企業実態)からのアプローチや株価指標から割高とか割安といった論議は既にナンセンスな領域に入っており、需給オンリーの相場と割り切るよりない。第一稀元素化学工業<4082.T>も同様で、東洋エンジほどは株式需給に逼迫感はないが、言語化できない需給バランスによって株価の値動きが決まることに変わりはない。
レアアース、あるいは海洋資源関連の切り口で有力視される銘柄は他にもいくつか存在する。大相場のDNAが呼び覚まされるとすれば大平洋金属<5541.T>は中期でマークしておきたい銘柄だ。同社株は昨年12月中旬を境に上昇トレンドに点火、今月15日には3100円の昨年来高値を形成した後一服しているが、新値街道復帰の可能性は高い。今のマテリアル系相場において人気化素地として重視されるのは過去に記録した大相場の実績である。東洋エンジなどにも共通項があるが、その時の記憶が足もとの株価形成にも少なからず影響を与える。大平洋金属の最高値は2007年5月につけた2万6850円(修正後株価)である。いうまでもなく今の株価とは1ケタ違う。同社はフェロニッケルの最大手だが、深海で採鉱したサンプルから高品位のニッケル・銅・コバルト合金などレアメタルを世界で初めて商業規模生産することに成功している。28年には年130万トン製錬できる量産体制を敷く構えにある。レアメタルに関していえば、脱中国の急先鋒の1社といっても過言ではなさそうだ。
また、大同特殊鋼<5471.T>も要注目銘柄としてリストアップされる。特殊鋼では世界屈指の競争力を誇り、日本製鉄<5401.T>が実質的な筆頭株主となっている。自動車向けが主力だが航空機や造船向けでも高い実力を有し、半導体関連の先端素材などでも実績が高い。同社はレアアース・フリーのネオジム磁石の開発・量産化を手掛けていることが大きなポイントとなる。こちらは今月15日に昨年来高値2276円をつけたが、これは06年4月以来約20年ぶりの高値水準。ほぼ青空圏といってもよく、戻り売り圧力が意識されにくい。
あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約、12月の貿易統計が朝方取引開始前に財務省から開示されるほか、日銀が1月の主要銀行貸出動向のアンケート調査を公表する。前場取引時間中には3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。また、午後には12月の全国スーパー売上高が発表される。海外では10~12月期の韓国実質国内総生産(GDP)が発表されるほか、マレーシア中銀、トルコ中銀、ノルウェー中銀などが政策金利を決定する。米国では週間の新規失業保険申請件数や7~9月期実質GDPの改定値、10月と11月の米個人所得・個人消費支出・PCEデフレーターなどが注目される。また、米企業の決算発表ではインテル<INTC>の10~12月期決算が開示される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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