ファーストブラザーズ、物件売却益や賃貸収入が貢献し、経常利益は前期比+102.1%の大幅増益で着地
2025年11月期決算説明
川村俊之氏:ファーストブラザーズ株式会社執行役員経営企画部長の川村です。2025年11月期通期決算についてご報告します。
具体的な決算数値の説明に入る前に、当社の決算を見る上で重要となる2つの特徴について、あらためてご説明します。
1点目は、当社は売上高ではなく売上総利益(粗利)の額を最重要指標としている点です。投資銀行事業における不動産取引は、物件ごとに原価率が大きく異なります。たとえ大型物件を売却し売上高が膨らんだとしても、利益が出ていなければ企業価値への貢献はありません。そのため、当社では見かけの規模を示す売上高ではなく、実質的な稼ぐ力を表す売上総利益を重視して経営を行っています。
2点目は、中長期的な株主価値の最大化を優先するため、期間損益の変動(ボラティリティ)を許容している点です。当社は、会計期間ごとの利益を平準化するために、上昇余地のある物件を早期売却するようなことはしません。マーケット動向を見極め、その物件の潜在価値が最も顕在化するタイミングで売却を行うという投資規律を徹底しています。このためどうしても期間業績に変動が生じますが、これは中長期的な株主価値向上のためのプロセスであるとご理解ください。
この2点を踏まえ、当期の決算概要についてご説明します。
エグゼクティブサマリー

続いて、2025年11月期通期決算のサマリーです。
主力である投資銀行事業(賃貸不動産投資)においては、戦略的な物件売却による売却益の計上に加え、ポートフォリオの質の向上により賃貸収益が順調に伸長しました。その結果、投資銀行事業の売上総利益は35.8億円(前期比16.4パーセント増)となりました。
また、施設運営事業(ホテル運営)については、一部地域で地震予知に伴う風評等の影響を受けたものの、底堅いインバウンド需要を取り込み、売上総利益は約3.2億円(前期比25.2パーセント増)と大幅な増益を達成しています。
これらを合算した全社の売上総利益は78.3億円となり、前期比で53.5パーセント増という結果になりました。各段階利益は後ほど詳しくご説明します。
なお、前年度末比で不動産の含み益が約34億円減少していますが、これは主に物件売却による含み益の実現が進んだことによるものです。当期は、バリューアップが完了した物件を計画どおり売却したことで、含み益を確実な実現利益(キャッシュ)へと転換しました。この含み益の減少は、投資サイクルが正常に機能し、投資リターンが確定したことの証左(ポジティブな結果)であり、今後もこの循環を継続していきます。
ファーストブラザーズのビジネス

当社の事業セグメントの説明です。当社は主に3つの大きな収益の柱があり、役割の異なるこれら3つの事業を組み合わせることで、成長と安定を両立させています。
1つ目は当社の成長エンジンであり、自己勘定でリスクを取り高いリターンを追求する「投資銀行事業」、2つ目は投資家さまから資金をお預かりし安定的なフィー収益を積み上げる投資運用事業、そして3つ目がオペレーショナル・アセットの価値最大化を担う施設運営事業です。
各事業における不動産投資

当社の不動産投資に関するビジネスモデルをご説明します。
投資銀行事業は自己資金(借入を含む)を用いた直接投資です。ここでは当社がオーナーとなり、物件のポテンシャルを最大限に引き出すことで、高い賃料収入とキャピタルゲイン(売却益)の獲得を目指します。
一方、投資運用事業(ファンド)は、機関投資家から出資を募り、当社は運用に対する手数料(基本報酬・成功報酬等)を受け取るアセットマネジメント型のビジネスです。
こうした2つの事業を並行して運営することで、資本効率と安定的なフィー収益を両立し、景気局面に応じた柔軟なポートフォリオ運営を行うことが可能であることが当社の強みです。
投資銀行事業で当社グループが取り組んでいること

自社資金による投資を通じて、安定収益の確保と持続的なポートフォリオ成長をどう実現しているかを、投資銀行事業の取り組みとしてご説明します。
不動産投資においては、需給バランスが安定している中小型のアセットを中心に厳選して取得します。取得後は、テナント構成の最適化や設備更新といったバリューアップ施策を講じることで、NOIの持続的な改善を図ります。そして、市場環境を見極めた適切なタイミングで売却を行い、回収した資金を新たな優良案件へと再循環させることで、ポートフォリオの質を継続的に向上させています。
その他投資は、ベンチャー企業への投資などを中心に、小口・段階的に取り組みます。
東日本不動産(HNF)の東北エリアにおける事業戦略

東北エリアにおけるHNFの事業戦略をご説明します。ポイントは、地域密着の情報ネットワークを活かし、競争の少ない環境で優良物件を取得、そして高利回り物件を集中的に保有することで、収益性の高いポートフォリオを築いている、という点です。
東日本不動産は青森を中心に、地元行政・不動産事業者との強固な関係を築いてきました。この地の利によって、優良物件の情報を早期かつ優先的に入手できます。仲介経由の一般公開前にアクセスできるため、構想段階からの関与や条件形成が可能になります。その結果、オフマーケット比率の高さ、紹介案件の厚みが競争力の源泉になっています。
ESGを踏まえた事業運営とCSV(Creating Shared Value)

ESGおよびCSV(共通価値の創造)に対する当社の考え方をご説明します。当社は、社会課題の解決こそが、競合他社との差別化要因となり、持続的な高収益をもたらす成長戦略であると位置づけています。
その最たる例が、「地方経済の活性化(Social)」です。当社は、子会社の東日本不動産を通じて、首都圏一極集中ではなく、地方エリアへ積極的に資金を投じています。
多くの投資家が参入しづらい地方の不動産や、後継者不足などの課題を抱える物件に対し、当社がその価値を再定義し、再生させます。これにより地域に経済循環を生み出しながら、当社自身も競争の少ない環境で高利回りを享受することができます。
「地方の課題解決」と「投資リターンの最大化」の2つをトレードオフではなく、ビジネスの力で同期させることこそが、ファーストブラザーズが目指すCSV経営です。
業績ハイライト

各段階利益の概要です。先ほどご説明したとおり、主に大型の物件売却を実施し、安定的収益である賃貸収益も引き続き着実に増加したこと等により、売上総利益は78.3億円で前期比53.5パーセントの増益となりました。
経常利益については金利上昇により営業外費用負担は増加したものの、44.3億円と前期比102.1パーセントの増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、17.4億円で前期比23.5パーセント増です。これは今期のみの特殊要因ではありますが、第4四半期に施設運営事業における子会社に関連する固定資産とのれんの減損を行ったことにより特別損失を計上したことが主な要因です。
賃貸不動産ポートフォリオ

ここからは個別の事業についてご説明します。投資銀行事業では、中長期的に安定収益が見込める賃貸不動産ポートフォリオを構築しています。賃貸不動産は取得価格ベースで残高は648億円となりました。物件数は89物件で、NOIは7.4パーセントと高水準を維持しています。
当期は物件の売却が先行し、残高・物件数ともに減少しましたが、足元ではすでに複数の取得案件が進行しており、次の収益を生む種まきは着実に進んでいます。
物件簿価、時価、含み益の推移

賃貸不動産の時価と簿価の差額である含み益は177億円となりました。前年同期の212億円に対して34億円減です。
含み益は、将来、売却時に顕在化し、利益に貢献するとともに再投資の源泉となります。先ほどご説明したとおり、当期は物件売却が先行し、含み益を大きく実現益として顕在化したため一時的に減少しています。
賃貸不動産ポートフォリオの所在地別、用途別内訳

保有物件の内訳をグラフで示しています。都内だけではなく、全国の主要都市を中心に、幅広い地域で投資を行っているという特徴があります。用途としてはテナントニーズの堅い立地にあるオフィス、商業施設に加え、ホテル・旅館へも投資しています。
当社は一定のアセットタイプ比率にこだわらず、時代や市場の変化に応じて、柔軟に投資対象を選定し、さまざまなエリア・タイプへ投資をしています。当期においてはコロナ禍に取得したホテルの売却を進めた結果、ホテルアセットの比率が減少しました。
不動産賃貸売上・粗利

賃貸売上および賃貸粗利の推移です。賃貸収益は着実に増加し、売上高は76億円、粗利で35億円となりました。
不動産賃貸売上の構成

続いて、当社のストック収益の柱である不動産賃貸売上の構成についてご説明します。
グラフにお示ししたとおり、売上全体は76.7億円へと順調に拡大しました。ここで投資家のみなさまにご注目いただきたいのは、収益の質的な進化です。
当期は、ホテル等の変動賃料の比率が34.6パーセントへと拡大し、収益成長を強力に牽引しました。昨今のインフレ局面において、契約更新まで賃料を上げにくい固定賃料だけでは、収益の実質価値を目減りさせるリスクがあります。対して、ホテルなどの変動賃料は、宿泊単価(ADR)の上昇を通じて、インフレや経済成長の果実を即座に・ダイレクトに取り込むことが可能です。
私たちは現在、賃貸ポートフォリオを以下のとおり固定と変動をうまく組み合わせて構築しています。
オフィスやレジデンスにより金利支払い等の固定費を確実にカバーする固定賃料、インバウンド需要やインフレを収益化しアップサイドを青天井に追求する変動賃料を組み合わせています。下値は固定賃料で堅く支えつつ、上値は変動賃料で最大限に追うという、リスクをおさえながらリターンを狙う戦略をとり、双方のバランスを見ながら運用しています。
不動産売却売上・粗利

売却は売上高94.4億円、粗利38.6億円ですが、保有物件の収益価値向上施策を実施しつつ、得られた含み益を売却によって実現し、再投資を行うサイクルを実施しています。2025年11月期は下期にかけて複数の物件売却を行い、当初想定以上の売却益を獲得しました。
資金調達の概要

資金調達は不動産ビジネスの重要な要素です。不動産投資に際しては借入を活用し、物件を取得します。投資を進めるにつれ、借入残高は増加する傾向にあります。
当社では原則として、借入期間を10年以上に設定し、リファイナンスリスクを抑制しています。資金調達は主に変動金利を利用していますが、金利スワップの活用により、借入金利の一部を固定化することで、金利変動リスクの低減を図っています。
当期は、日銀のマイナス金利政策解除を受けて長期金利が上昇しました。変動金利の基準となるTIBORや短期プライムレートについては緩やかに上昇をしていますが、足元では安定しつつあります。しかしながら金利の動向は楽観視せず、個別不動産ごとの収益性を、金利のさらなる上昇可能性を織り込みながら、より厳格にモニタリングしています。
不動産アセットマネジメント

投資運用事業についてです。今期においては、金利上昇の影響や国外不動産の市況から投資家は慎重な取引姿勢となっており、当社としてもファンドでの取得はありませんでした。
一方で、期中管理業務を受託している案件での売却が発生したため、受託残高が減少するとともに、売却フィーを収受するなどAM報酬を受領しました。
業績サマリー

当期は、夏場にSNS上で拡散された「地震予知に関する風評」の影響を受け、一部施設では需要が落ち込むなど、一時的な逆風が吹く局面もありました。しかしながら、当社はこうした不測の事態に対しても、機動的な価格戦略(レベニューマネジメント)や集客チャネルの最適化を図ることで対応しました。
その結果、全体としては旺盛なインバウンド需要や国内観光需要を的確に取り込み、前年同期比でしっかりと増収を確保することができました。
なお、利益面については、M&Aに伴うのれん償却費等の会計上の負担により、営業利益段階では損失計上となっています。ただし、これはあくまで現金の支出を伴わない会計上の処理であり、償却前利益(EBITDA)の実力値ベースでは、着実にキャッシュ・フローを創出できる体制となっています。今後も収益力強化を図り、早期の営業黒字化を目指していきます。
業績予想

現在、国内外の金利動向やインフレ率の変動、金融政策の変化など経済情勢が大きく変化しています。このような中、当社は2025年11月期において慎重な投資判断を行いました。この状況は現時点でも変わっていないと考えています。そのため、2026年11月期においても不動産の取得および売却について市場動向を注視しつつ、慎重かつ柔軟な姿勢で判断したいと考えています。
さて、来期の業績予想をご覧いただく上で、特にご注目いただきたい指標が、親会社株主に帰属する当期純利益(最終利益)です。
2026年11月期においては、固定資産として保有していた一部物件の売却を計画しています。会計上のルールにより、これらの売却益は経常利益には含まれず、その下の特別利益として計上される見込みです。そのため、経常利益は29億円となっていますが、ここには固定資産売却による利益が含まれていません。当社が創出する経済的価値の総量を正しく評価いただくためには、この特別利益を含んだ最終的なボトムライン、すなわち当期純利益を見ていただく必要があります。
以上の戦略的な資産入替を織り込んだ結果、通期業績予想は、売上高177億円、経常利益29億円、そして、当期純利益は26億円を計画しています。
経常利益に対する当期純利益の比率が高くなっていることからも、戦略的な資産入替の効果を見て取っていただけるものと考えています。
収益構造・バリュエーション推移

続いて、株価と資本コストの認識についてご説明します。
市場からの評価に対する当社の現状認識と、それに対する対応についてです。まず左側の事業別の売上総利益推移のグラフです。濃い青色が不動産売却益、薄いグレーが賃貸収益です。ご覧のとおり、当社の利益構造は、安定的に積み上がる賃貸収益をベースとしつつ、その上にボラティリティ(変動)の大きい売却益が乗るかたちとなっています。
次に右側のPBR推移のグラフをご覧ください。TOPIXが上昇基調にある中、当社のPBRは、残念ながら1倍を割れる水準で推移しており、市場評価については真摯に受け止める必要があると認識しています。
現状認識と課題

その要因分析を示しています。左下のグラフに記載のPBRとROEの推移をご覧ください。
折れ線グラフのとおり、当社は期によっては高いROE(自己資本利益率)を出していますが、PBRは低迷したままです。
このギャップの主因は、資本コスト(期待収益率)の高止まりにあると分析しています。当社の特徴である売却タイミングによる利益の変動(ボラティリティ)に対し、株式市場が不確実性を感じ、その分だけ株価を割り引いて評価している(リスクプレミアムが高い)という現状認識です。つまり、稼ぐ力はあるものの、その再現性に対する市場の理解を得る努力が、まだ十分ではないと考えています。
当社グループの投資哲学

では、なぜ私たちはボラティリティを許容してまで、今のスタイルを貫くのか? その理由が31ページの投資哲学にあります。このグラフは、時間軸に対する価値の上がり方を示した概念図です。
不動産には2つの特性があります。
1つは「不可逆性」です。不動産は個別性が強く、一度手放してしまえば、二度と同じ条件で買い戻すことはできません。したがって、安易な早期売却(点線のルート)は、みすみす利益を捨てることと同義です。
2つ目は「潜在価値の顕在化(マッチング)」です。実線のグラフが急上昇しているポイントをご覧ください。不動産の価値は、その物件を最も必要とする「最適な買主」と出会った瞬間に跳ね上がります。私たちは、単に市況を待つのではなく、この「ベストな買主とのマッチング」を成立させるために時間を使い、汗をかきます。
この価値のジャンプアップを実現するためには、どうしても保有期間の調整が必要となり、結果として年度ごとの業績に変動が生じます。しかし、これこそが不動産の真の価値を顕在化させ、中長期的に株主価値の最大化に寄与するものと考えています。
資本コストを意識したポートフォリオ・マネジメント

32ページをご覧ください。
もちろん、ただ漫然と保有して待つわけではありません。この図にあるとおり、私たちは保有期間中、常に期待収益率と資本コスト等を天秤にかけてモニタリングを行っています。
もし、ある物件の期待リターンがコストを下回った、つまり「これ以上保有しても、株主さまの期待するリターンを生めない(価値創造が終わった)」と判断した場合には、含み益の有無にかかわらず、即座に売却・入替えを実行します。
「哲学」でリターンを最大化し、「規律」で資本効率を守るという、この両輪を回すことで、ボラティリティをコントロールしながら、企業価値の向上に努めていきます。
配当の基本方針

最後に株主還元です。
繰り返しとなりますが、当社の業績の特徴としては、期ごとの利益は変動が大きくなります。一方で株主資本については、毎期着実に利益を計上し続け右肩上がりです。
これは不動産ポートフォリオをしっかりと成長させ、賃貸収益・売却収益を得て、利益を再投資し、よりよいアセットを取得するサイクルを生み出した結果、企業が成長している証と認識しています。
当社は、株主資本の増加を企業成長の指標の1つであると位置付けています。この考えのもと、配当方針として株主資本に連動した指標である株主資本配当率(DOE)を基準とし、安定的かつ継続的な配当を実施しています。具体的には、DOE2.0パーセントを目安に配当額を決定し、年1回の期末配当を行っています。
2026年11月期については、DOE2.0パーセントを基準に1株当たり37円の期末配当を実施する予定です。当社は今後も、株主資本の持続的な増加を通じて、株主のみなさまへの安定した利益還元を行っていきます。
株主優待制度

株主優待についてはこれまでと変わらず株主のみなさまへの日頃のご支援に感謝すると共に、当社株式への投資魅力を高め、中長期的に保有いただけるよう「ファーストブラザーズ・プレミアム優待倶楽部」を導入しています。保有株数・期間に応じポイントを付与させていただいており、ポイントはAmazonギフト券などへ交換が可能です。
ご説明は以上となります。投資家のみなさまにおかれましては今後とも変わらぬご愛顧賜りますよう、どうぞよろしくお願いします。
関連銘柄
| 銘柄 | 株価 | 前日比 |
|---|---|---|
|
3454
|
1,163.0
(09:19)
|
0.0
(---)
|
関連銘柄の最新ニュース
-
Fブラザーズ(3454) [Delayed]Notice on D... 01/21 17:00
-
Fブラザーズ(3454) [Delayed]FY11/25Fina... 01/19 17:10
-
Fブラザーズ(3454) [Delayed]Notice Rega... 01/19 17:10
-
Fブラザーズ(3454) [Delayed]Consolidate... 01/19 17:10
-
Fブラザーズ(3454) 剰余金の配当に関するお知らせ 01/16 17:00
新着ニュース
新着ニュース一覧-
今日 09:40
-
今日 09:39
-
今日 09:33
-
今日 09:30
