カウリス、売上高は前年比2桁増、創業10周年の節目で配当を開始 新規事業「Grid Data KYC」で成長目指す
事業内容と企業理念

島津敦好氏(以下、島津):株式会社カウリス代表取締役社長、島津敦好です。本日は、2025年12月期通期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日は管理担当執行役員の上田とともに2名で進めていきます。それではよろしくお願いします。
昨年1年間の振り返りを行う前に、初めての方もいらっしゃるかもしれませんので、事業概要をお話しします。
当社は、マネー・ローンダリング対策およびサイバーセキュリティ対策事業を展開しています。基本的には、自社の顧客情報が盗まれることを防ぐという取り組みや、犯罪が発生した際に、その端末がどこの事業体に接続しているのかを業界横断的にネットワークでモニタリングする業務を行っています。
また、当社では、不正利用者の情報をお客さまからお預かりし、日々データベースを構築しています。このデータベースは、お客さまを横断して不正情報を蓄積する点が特徴です。
さらに、統計データを当局に提供し、金融庁や警察庁に情報を提供しながら、一般送配電事業者(電力会社)向けのサービスを構築しています。これらは法改正を進めつつ実施しています。
Fraud Alertの特徴 不正利用者情報の共有

当社の事業で他社と最も異なる点は、サービスモデルです。他の既存サービスでは一社一社と委託契約を結ぶかたちをとっていますが、当社では提供された不正利用者情報をプラットフォーム化し、第三者が他社の情報を活用できるようにしています。
また、この取り組みに関しては、警察庁や個人情報保護委員会から認定を受けつつビジネスを展開している点が、大きな差別化要因となっています。
エグゼクティブサマリー

昨年1年間の通期業績についてご説明します。こちらは、管理担当執行役員の上田七生美氏よりお話しします。
上田七生美氏:上田です。よろしくお願いします。
売上高は14億71万円、営業利益が4億809万円、当期純利益が2億7,644万円となりました。昨年8月14日に公表した業績予想の修正のお知らせの計画レンジどおりに推移しました。
スライド右側の業況についてです。マネー・ローンダリングおよび金融犯罪は年々高度化しており、攻撃者が生成AIなどを活用し始めています。
攻撃の敷居が下がりつつあり、警察庁の公表によると、特殊詐欺などの被害額は過去最高を記録する見込みで、11月までに1,213億円に達しています。
当期の主な取り組みとしては、9月18日に「Grid Data KYC」をリリースしました。このサービスは金融機関向けで、電力契約情報を活用した本人確認サービスです。導入した金融機関は、自社顧客情報と電力契約情報を照合することで、不正口座の開設防止や顧客管理コストの削減を図ることができます。
北海道から沖縄まで、全国にある10の一般送配電事業者と業務提携することで、全国対応のサービス提供を可能としています。
本サービスは、立ち上げ段階にある新しいプロダクトであり、これまでの段階ではデータのマッチング精度向上に重点的に取り組んできました。アルゴリズムの改善やデータチューニングを重ね、精度を段階的に引き上げています。また、商談については銀行やカード会社を中心に進めています。詳細は後ほど、島津よりご説明します。
次に、主力サービス「Fraud Alert」についてです。顧客のトランザクション増加に伴い、トラフィックのストック売上が増加し堅調に推移しました。モニタリング利用シーンの拡大についても、ほぼ計画どおりに推移しています。一方、地方銀行の新規顧客獲得については苦戦しました。
2025年は仕込みの年として採用を強化してきましたが、入社タイミングのずれにより一部採用のための予算が未消化となりました。採用したメンバーを早期に戦力化するため、社内の教育体制を整備してきました。
最後に、株主還元についてです。創業10年目という節目と、7年をかけた「Grid Data KYC」のリリースが実現したことを受け、1株当たり4.8円の配当を実施することを決定しました。今後もDOE1.5パーセント以上を目安に、安定配当を継続する方針です。
財務ハイライト

次は財務ハイライトについてです。財務ハイライトはスライドのとおりで、営業利益率は29.1パーセントと引き続き高い水準を維持しています。
主要KPI・取組ハイライト

「Fraud Alert」の主要KPIについてご説明します。主要KPIはスライドに示されているとおりです。スライド左側の4つをKPIとして設定しています。上位3つは売上拡大を目的としたKPIで、MRR、契約社数、ARPUを設定しています。また、契約残高は、業績を適切に評価するための指標として設定しています。
各KPIについてご説明します。主力サービス「Fraud Alert」はSaaSモデルのため、解約がない限り売上が途絶えることはありません。解約が発生しなければ毎月継続して得られる売上であることから、翌期も引き続き売上として見込めます。そのため、MRRを重視しています。
当期2025年12月期における期末時点のMRRは前期2024年12月期に対し13.6パーセント増加し、1億550万円から1億1,990万円となりました。主な要因は、既存顧客のトランザクション増加に伴う売上の増加です。
契約社数は前期末の47社から48社に増加しました。当期間では新規に6社を獲得した一方で、5社の解約が発生したため、純増は1社となっています。
当社は、新規顧客獲得の可能性は十分にあると考え、契約社数を重要なKPIとして位置付けています。しかしながら、地方銀行を主なターゲットとする主力サービス「Fraud Alert」については、新規顧客獲得において想定以上に苦戦しました。
地方銀行においては意思決定プロセスが長期化する傾向があり、導入までのリードタイムが想定以上に長くなることが判明しています。そのため、短期的には「Fraud Alert」へのリソース配分を一部見直し、新サービスである「Grid Data KYC」へ経営資源を重点的に配分する方針に変更します。
なお、「Fraud Alert」の需要自体が低いという認識ではなく、意思決定期間の長期化により、案件化から契約までのタイミングが遅れている状況です。
次のARPUは224万円から249万円となり、11.9パーセントの増加となりました。主な要因は、アップセルの大幅増加とクロスセルの貢献です。
最後に契約残高ですが、6億6,400万円から5億8,500万円となりました。これは、前年12月に契約更新を予定していた大型企業が翌年1月に契約更新を行ったことによる影響が2億円弱あったことが主な要因です。
当社の主力サービスである「Fraud Alert」は、導入においてシステムインテグレーションを伴うサービスです。このため、契約締結から売上計上までの間に一定のタイムラグが生じる構造となっています。
場合によっては、事業年度をまたぐケースもあり、単年度のP/Lだけでは事業の実態を必ずしも適切に表しきれない状況がありました。こうした背景を考慮し、より適切に事業の進捗や実力値を測るために、ARPUを指標に設定しています。
なお、2025年については、契約更新のタイミングを3月に集約する方針を取っています。その過程で一部の顧客について契約期間を一時的に短縮しているため、前年と単純に比較をするのが難しい状況となっています。これは、あくまでも契約管理上の調整によるものです。
FY2025業績

通期業績の売上見通しについてご説明します。スライドのチャートは、2024年度から2025年度にかけて、売上高がどれだけ増加したかを示しています。期中に業績予想の修正を行ったため少々わかりづらい部分もありますが、ポイントは前年度からの純増額を要因別に整理している点です。
2024年12月期の売上高実績は12億2,500万円でした。それに対し、2025年12月期の売上高は約14億円となり、前年比で1億7,500万円の増加を達成しました。
この1億7,500万円の積み増しについては、アップセル、クロスセル、新規契約、解約といった要因別に分解したものが本チャートです。
結果として、アップセルが想定以上に伸び、売上高の積み増しに大きく貢献しました。一方、新規契約については、顧客の既存システムへの依存が想定以上に強く、計画に対して実績が下振れしています。
このように、前年差の売上成長において、どの要素がプラスに寄与し、どの要素がマイナスに作用したのかを可視化したものです。
FY2025 Q4営業利益の増減

営業利益の増減についてご説明します。第3四半期から第4四半期にかけての営業利益の増加要因はスライドのとおりです。
売上増による増加は3億7,200万円です。コスト面では、人件費と業務委託費を含む人件関連の費用が合計で約1億4,700万円、サーバー費用などのインフラコストが約5,900万円、「Grid Data KYC」のコストが約1,900万円となりました。
主要KPI(Fraud Alert)・取組ハイライト MRR

「Fraud Alert」のKPIです。MRRの推移はスライドのとおりで、増加要因として、既存顧客のトランザクション増加による売上高の増加が大きな影響を与えています。
第3四半期から第4四半期の増加要因は、新規顧客の獲得および既存顧客のクロスセルの影響です。
主要KPI(Fraud Alert)・取組ハイライト 契約社数

契約社数についてです。契約社数の推移はスライドのとおりです。通期では6社の新規契約を獲得し、5社が解約となり、純増は1社となりました。第3四半期から第4四半期では2社増加しています。
解約となった5社の理由はさまざまです。2社はリアルタイムモニタリングへのシステム改修によるコスト増のため、1社はインターネットでのモニタリングを中止し、アプリへ移行する方針のため、1社は不正アクセスの検知方法をいろいろと試行したいため、1社はベンチャー企業で、売上の伸びに時間を要していることからコスト削減のため、という理由です。
主要KPI(Fraud Alert) ARPU

ARPUの推移はスライドのとおりで、スライド左側が全体、右側が新規と既存に分けたものです。前期にスライド右上の新規ARPUとして集計されたものは、期が変わるとスライド右下の既存ARPUとして集計されています。
全体では、第3四半期の約247万円から第4四半期の約249万円へと増加しています。増加の要因は、新規、既存の両方のARPUが向上したことによります。スライド右上の新規ARPUは、単価の高い取引モニタリングでの獲得によって上昇しました。また、スライド右下の既存ARPUは、堅調なアップセルとクロスセルが実現したことで上昇しています。
主要KPI 契約残高

契約獲得高と契約残高についてです。契約獲得高と契約残高はスライドのとおりです。前年同期比として棒グラフを並べています。スライドの左半分が前期、右半分が当期の棒グラフを示しています。濃いピンクは契約残高を、薄いピンクは売上高を示しており、P/Lの売上高と一致します。
当第4四半期に獲得した契約は2億8,500万円で、前年同期は3億4,070万円となっています。一見すると減少しているように見えますが、前期と同じ12ヶ月での契約更新であれば、前期を上回る契約獲得となります。3月末に契約のタイミングを統一するため、一部顧客の契約期間を短縮した影響です。
契約獲得高についてですが、「Fraud Alert」だけでなく、すべての契約金額が対象となっています。参考までに、契約残高5億8,510万円のうち、2026年第1四半期に売上高として計上される金額はおよそ30パーセントです。
財務ハイライト BS

業績結果のサマリーです。B/Sはスライドのとおりです。ソフトウェアはすべて新規事業「Grid Data KYC」のデータを照合するためのものになっています。
総資産は21億8,200万円であり、そのうち14億8,700万円を現預金が占めています。一部資金を運用し、格付けの高い社債を取得したため、その分の現預金が有価証券に移動しています。
自己資本についてです。役職員が保有するストックオプションが行使され、今期は15万4,100株が割り当てられました。これにより資本金等は約6,909万円増加しています。自己資本比率は75.9パーセントと高水準を維持しており、引き続き財務の健全性は保たれています。
新株予約権の行使状況

新株予約権の行使状況についてです。通期での権利行使は15万4,100株で、これにより発行済株式総数は652万8,000株となりました。当社の新株予約権にはべスティング条項があり、行使期限が到来していないものが14万5,500株あります。行使状況の詳細についてはスライドをご覧ください。
財務ハイライト 販管費と売上原価

販管費および売上原価の主要科目についてご説明します。販管費の合計は、当期4億900万円で、前期の3億6,200万円と比較して約4,689万円増加しました。主な要因としては、採用費が約1,200万円、派遣社員費が約1,810万円、セキュリティ強化に伴うシステム利用料が720万円増加したことが挙げられます。
売上原価の合計は、当期5億8,343万円で、前期の4億5,031万円と比較して約1億3,312万円増加しました。この増加の主な要因として、新規事業「Grid Data KYC」にかかるコストが人件費を含めて約2,770万円増加しました。
人件費や業務委託費が6,300万円、インフラ費用が約3,400万円増加しました。
グロスレベニューチャーンレート

グロスレベニューチャーンレートについてはスライドのとおりとなっています。ここからは社長の島津がご説明します。
売上高

島津:昨年を振り返ると、売上高成長率が想定より伸び悩んだ部分があると思います。特に新規顧客の獲得に苦戦していると感じています。
一方で、商談を見てみると、新規のお客さまと既存のお客さまで、状況がかなり二極化しています。現在、ARRの売上高が1億円を超えている会社の数は、昨年1年間で5社ほどとなっています。設置箇所(利用シーン)やユーザー数が大幅に増加しているお客さまと、これからモニタリングを進めるべきかどうかで立ちすくんでいる銀行とで、完全に二極化している状況です。
アップセルに関しては、非対面チャネルが各社で増加しているため、ユーザー数が堅調に増加しています。
クロスセルに関しては、銀行口座が転売されている状況があるため、口座開設やログイン時の端末の傾向の差分をモニタリングして凍結する対応を取っていますが、これが非常に増加しています。
昨年から、メガバンクのスマホアプリにも当社のサービスが導入され、個人以外の法人マーケットも徐々に拡大しています。
一方、獲得社数に関して、クレジットカードおよびフィンテックの解約があり、全体としては1社純増に留まりました。この点は大きな課題として捉えています。
また、POCについては、2社が本契約に進む一方、1社で終了となりました。本契約に結びつけるためのアプローチがやや不足していたと考えています。
既存顧客のモニタリング範囲拡大

クロスセルに関する現在の状況についてです。スライドに記載の6つの設置箇所(利用シーン)のうち、ほとんどの箇所において当社によるモニタリングが完了している企業が出始めています。これらの企業では、銀行口座が不正に買い取られている金額が減少傾向にあります。
モニタリング範囲を広げることは、お客さま側でもニーズの顕在化が見られ始めています。また金融庁からも、口座開設やログイン、入出金の各プロセスについて、現時点でどの部分がモニタリングされているのか、モニタリングが未実施の部分に対して今後どのように対応していくのかということについて、アンケートが入るようになってきています。
今年は地方銀行の最大手の1つが、ログインに関する1つの利用シーン設置から始まり、スマホアプリと口座開設についても今年中に設置する計画となっています。また、今年新たに1つの利用シーンから一気に5つの利用シーンに設置が拡大する地方銀行も出てきており、この動きにより設置箇所(利用シーン)が少しずつ増加していく見込みです。
正社員数及び営業利益率

従業員数と営業利益率についてですが、昨年は修正後の採用計画20名に対して実績として19名で着地しました。ヘッドカウントは想定どおりですが、「Grid Data KYC」の持ち出し費用が一定数発生しているため、新規案件を積極的に獲得して固定費をカバーする必要があります。
ただし、いくつかの大型案件が進行中ですので、私としてはできる限り今期において「Grid Data KYC」単体での黒字化を目指していきたいと考えています。
最近のメディア掲載・登壇実績(予定含む)

昨年は、証券口座の乗っ取り事案について多くの報道がなされましたが、今年は一段落したところがあります。
一方で、銀行やクレジットカード、またはGoogleやAppleといったOpen ID Connect系へのフィッシング攻撃が増加しています。そのため、引き続き主戦場である銀行において、注意喚起や啓蒙活動を行いながら対応していきたいと考えています。
インターネット取引サービスの不正アクセス・不正取引の被害状況

昨年1年間の不正アクセス・不正取引の状況についてご報告します。証券会社においては、3月、4月、5月にスパイクした後、右肩下がりの傾向にあるものの、引き続きアカウントが乗っ取られる事例が発生しており、不正な売買金額は2025年の累計で約7,400億円に達しています。引き続き、証券会社への営業を継続しています。
いくつかの証券会社は、すべてのチャネルに「Fraud Alert」を導入しようとしており、アプリやインターネットトレーディング以外にも、ダウンロードするアプリなどに当社のサービスを組み込んでいただいています。また、口座開設ページや売買ページにも導入したいというニーズが出てきており、証券会社の間でも2極化が進んでいる状況です。
国民を詐欺から守るための総合対策

スライドのグラフは2024年時点の各種詐欺被害額に関するデータです。これは少し古い情報ですが、2024年と2025年を比較すると、2025年のほうが上回って推移しています。高市政権下でも、国民を詐欺から守る動きは今後も継続されると考えていますので、このような定性的な環境は、当社にとっては追い風になると感じています。
Grid Data KYC

「Grid Data KYC」に関してですが、このサービスの利用シーンは、口座開設時の不正抑止や継続的顧客管理という2つの分野となります。
「Grid Data KYC」のセミナーには約1,000人が来場しています。さらに、金融庁に出向されていた弁護士からも、金融庁のガイドラインが求める基準や期待を超えるサービスであると評価されています。
実例として統計的な数字が示され、口座開設時に不正をこれだけ抑止できるという具体的な話や、顧客管理コストをこれだけ削減できるという実績データが出ています。このデータも、先週から開催している説明会でご説明しています。
啓蒙セミナー登壇

昨年の第4四半期に関しては、オフィシャルな登壇よりも情報交換会のような場が多かったため、正式な説明会登壇はありませんでした。どのように金融犯罪を防いでいくのか、証券口座の乗っ取りをどのように止めていくのかといったトピックが挙がっており、引き続き当局との情報連携を継続していく方針です。
株主還元

2026年についてです。昨年、創業10周年の節目に株主配当を始めました。今年も継続して、少しずつ配当を出していきたいと考えています。
FY2026業績予想

業績予想です。現在は「Fraud Alert」のみを考慮した数値となっています。「Grid Data KYC」の予算取りが終わった企業もあるものの、より精度の高い予想を出したいと考えているため、現時点で発表する業績予想は「Fraud Alert」の売上のみで構成することとしました。
コストについては「Grid Data KYC」が含まれているかたちになりますが、売上と営業利益はスライドのとおりです。利益については横ばいと見込んでいます。
FY2026計画

昨年の売上実績は14.00億円でした。アップセル・クロスセルには注文書を受領している案件がだいたい含まれていますが、新規のお客さまについても堅調な状況を見込んでおり、これらを合わせると前年比で約13パーセントの増加が見込まれる状況です。
ここに含まれない案件および「Grid Data KYC」の案件が追加されることで、さらに上振れると考えています。
FY2026業績予想

2026年の予想はスライドのとおりです。新規案件については、2028年にFATFの審査が来るということで、ニーズが前倒しで顕在化すると思っていました。しかし、引き続き情報収集中で、2026年度も情報収集段階だという会社が一定数存在しており、想定よりもリードタイムが長いということが明らかになりました。この点について、我々の読みが甘かったと認識しています。
FY2026業績予想

業績予想に関する前提条件です。先に申し上げたように「何を織り込んでいるのか、織り込んでいないのか」という点がありますが、特に中型・大型案件が進んだ場合には、業績修正などで発表を行う予定です。
論点としては、新規獲得について、「Fraud Alert」と「Grid Data KYC」という2種類のサービスがあるため、それぞれに関するKPIをお示ししたいと考えています。
成長イメージ

中長期の戦略についてです。2028年度に約20億円から22億円程度の売上を見込んでいます。
CAGR(年平均成長率)は約14パーセントと考えており、さらに「Grid Data KYC」が加わることで、トップラインがもう少し伸びる見込みです。
売上高が30億円から35億円になると、営業利益率は40パーセント以上になるのではないかと考えています。利益率の最大化にはトップラインの成長が必要であり、そのためにはお客さまが利用しやすいサービスの提供が重要です。
システムインテグレーションが発生すると大きな負担となるため、データの授受による納品が可能なサービスへと徐々に移行し、営業利益率40パーセント超を目指していきます。
オーガニック・インオーガニックな戦略方向性

個人のインターネットバンキングやインターネットトレーディングに加え、法人の利用が増加している企業が一定数存在するため、法人口座についても注視していきます。
また、既存のお客さまへのモニタリング範囲拡大や、「Grid Data KYC」の推進にも取り組みます。我々としては「Grid Data KYC」を第2の成長ドライバーと位置づけており、これを拡販していきます。
取引データを活用した不正口座の分析

データを授受するだけで納品が可能なものとして、従前からお話ししている不正口座のモニタリングについてですが、現在サービスを試している企業が出始めています。1つの不正口座を特定すると、その入出金に関係する銀行口座を洗い出すという仕組みです。
やってみるとすぐに、1週間で40口座以上の不正口座を発見する事例も現れています。このネットワーク分析をさらに拡販していく計画を進めていきます。
全国銀行協会でも、不正な口座情報の流通を防ぐ取り組みが行われていますが、当社は一歩先を行き、ブラック口座を顧客間でシェアする取り組みを進めています。
現在お預かりしている口座を各社で共有する実証実験を進めており、これをネットワーク分析と組み合わせた結果、現時点で相当数の不正口座を発見できています。この解析関連サービスを今年はさらに拡販していく方針です。
またスライド右側については、金融犯罪に関する最近のトレンドとしての豆知識になります。一つの口座内で、生活用口座や事業性のあるキャッシュフローが見られる口座であっても、そこに事業や生活に関係のない資金が含まれ、資金洗浄を代行しているケースが多くなっています。
近年は、本業用の口座が資金洗浄を手助けする形態が増えており、これを見抜くためにネットワーク分析が非常に有効であることがわかってきています。
官民一体となったマネロン対策

政府は高市政権のもと、詐欺対策を推進しています。金融庁および警察庁が連携して取り組んでおり、私たちの取り組みを相互に連携させることで、金融犯罪対策市場をより加速させたいと考えています。
私たちのサービスが普及することで、国民の財産を守ることができるようになります。この連携を今後さらに深めていくことを目指しています。
質疑応答:大型案件の契約更新によるARPU拡大について

司会者:「ARPUは2025年12月期の実績240万円から、2026年12月期に280万円に伸ばす見通しとありますが、過去より高めとなっている背景について教えてください」というご質問です。
島津:大型案件が複数社、12月末で契約更新となり、数百万円、MRRが上がっている箇所があります。大型案件の設置箇所やアップセルが進むと、一気に平均値が上がっていくことになります。
当社の売上構成は、上位10社のお客さまが大きな比率を占めています。大型のお客さまがさらにクロスセルやアップセルを進めることで、全体のARPUを大きく引き上げる結果となる見込みです。
今、MRRで年間1億8,000万円をいただいている最大手の案件があります。また、1億円を超える案件が累計で5社となり、それぞれ8,000万円や9,000万円だったものが、今期には一気に1億3,000万円から1億4,000万円になっています。これがARPUを一気に拡大させる材料となっています。
質疑応答:新規契約の獲得と解約の考え方について

司会者:「今期の新規契約獲得と解約についてどうお考えでしょうか?」というご質問です。
島津:「Fraud Alert」の今期の新規契約の獲得については、主に銀行や証券会社をターゲットにしています。一方で、解約についてですが、非金融機関や金融庁の管轄外の企業に関しては、シーズナリティによる影響があります。不正事故が発生しなかった年には、セキュリティ投資を行わないという判断をする傾向があり、例えば、昨年のクレジットカード会社ではそのような事例が見られました。
また、損益計算書(P/L)への影響を抑えるため、事故があまり起きない年にはセキュリティ投資を行わないという意思決定が非金融機関で行われることがあります。そのため、当社としては、金融機関での契約獲得に注力する方針です。
「Grid Data KYC」で新規契約を目指すターゲットは主に銀行とクレジットカード会社となります。注力度合いとしてはそれぞれ半分半分といったかたちです。また、今の「Fraud Alert」とは逆の話になりますが、新規の入会や顧客向け販管費、販促物の送付、クレジットカード再発行に伴うコストを考慮すると、損益計算書(P/L)の観点で「Grid Data KYC」を利用する合理性は高いと判断しています。
少なくとも何億円か浮くと試算されている企業が複数あるため、ここについては銀行やクレジットカード会社の顧客獲得に向けて積極的に取り組んでいきます。
「Grid Data KYC」に関しては、まだ利用顧客が累計でもPOCを含めて3社程度の段階のため、チャーンに対する考え方はどれだけコストを制限できたかに尽きると思います。逆に言えば、「Grid Data KYC」がないことでどれだけコストが上昇するかという視点から、チャーンを改善していきたいと考えています。
質疑応答:「Fraud Alert」法人口座の新規獲得に向けた課題について
司会者:「『Fraud Alert』の法人口座を伸ばす際に、課題となることは何でしょうか?」というご質問です。
島津:「Fraud Alert」の法人口座を伸ばす際の課題についてですが、まず1つは法人のインターネットバンキングにおいて、特定のベンダーが一定のマーケットシェアを持っており、その影響で外部ツールの使用を明確に禁止している点が挙げられます。
そのため、法人口座において特定のサービスを提供している企業に対しては苦戦する一方で、それらのベンダーを使用していない法人市場には参入の余地がかなりあると考えています。この点が1つの課題だと認識しています。
質疑応答:SNSを活用した銀行口座買取情報提供サービスの停止とその影響について

司会者:「今期のARPUの伸びと比較して、MRRの伸びが抑え目な計画なのは、解約が見えてるのでしょうか?」というご質問です。
島津:「Fraud Alert」に派生するようなサービスとして、SNS上で銀行口座の買取情報を収集・提供するサービスを展開していました。売上は年間1,500万円程度でしたが、近年、犯罪者がSNS等の公開された場で銀行口座を売買する動きが減少しており、この状況を踏まえ、いったんサービス提供を停止することとなりました。
月額で見ると、5万円から10万円程度のサービスです。「Fraud Alert」とこのサービスを両方利用している企業がある一方、このサービスのみを利用しているお客さまもいるため、その分の5万円から10万円の単価のお客さまが減少することで、契約社数の値が減り、結果として計算上はARPUが上がることになります。
これらの解約に関しては、影響は軽微なものとなります。
質疑応答:「Grid Data KYC」の営業進捗について

司会者:「『Grid Data KYC』の営業進捗について足元どのように評価されていますか? 今後加速していく目途はあるのでしょうか?」というご質問です。
島津:新規口座開設のモニタリングについては、主に1部署のみ与信管理部とのやりとりが中心のため商談は比較的短期間で進行しています。
一方で、継続的顧客管理に関する導入の検討は、3部署から4部署を横断するケースがあり、大手企業ほど意思決定には時間を要している状況です。
ただ、すでに利用いただいている企業さまで新規口座において抑止した不正を疑われる件数や継続的顧客管理での成果について対外発表を許可していただける先も出てきています。ご協力をいただき、このような数字の開示が進むことで、他の企業の検討スピードにもよい影響が出るかもしれないと考えています。
したがって、現在、銀行業界においては、メガバンク、ネット銀行、地方銀行、信用金庫といった各金融機関で事例を1つ構築し、それによって各社がどれくらいのコストパフォーマンスを実現できるのかを開示することが重要です。
ネット銀行は他のネット銀行を参考にし、地方銀行は他の地方銀行を基準にする傾向があるため、それぞれ事例を作成し、横展開することができれば、顧客企業内での検討プロセスを短縮できるようになると考えています。
商談の中では、「『Grid Data KYC』の利用者数は何社あって、どの会社なんですか」という質問をいただきます。「新サービスなので、まだちゃんと使ったことがある会社がネット銀行の2社しかいませんよ」とお話しすると、例えば地方銀行との商談の場合、「地銀での実績がないなら検討しにくいな」という話になってしまいます。
そのため、業種ごとに最初のファースト顧客を獲得することが極めて重要になると考えています。
質疑応答:「Grid Data KYC」の売上インパクトとDX推進について

司会者:「『Grid Data KYC』の発注がとれそうなところは、どんな業種で、1社とれた場合の貴社の売上インパクトはどの程度でしょうか?」というご質問です。
島津:新規口座開設と継続的顧客管理の売上額の対比は1対4程度になるのではと考えています。ところが、あるクレジットカード会社の場合、新規口座開設での利用ではARRがおよそ1,000万円となる見通しの一方で、継続的顧客管理については、その10倍くらいの見積もりをしたというケースもありました。銀行に関しては、新規口座開設の見積もりについて、1年間で500万円から1,000万円程度を提示しています。一方で、継続的顧客管理においては、5,000万円から最大で1億5,000万円程度の見積もりを算出しています。
クレジットカード会社は、カード再発行時に1枚あたり約800円から1,000円程度の原価がかかっています。これを減らせるためクレジットカード会社にはより大きな影響を与えられるのではと考えています。
銀行においては、口座保有者のリスク格付けの決定が必要です。「リスクが低い」「リスクが中程度」「リスクが高い」の3段階で分類されます。「リスクが高い」顧客には毎年本人確認のハガキを送付する必要があり、中程度の場合は2年に1回、低リスクの場合は3年に1回送付するという運用になっています。
近年、銀行口座が不正使用のため凍結されるケースでは、凍結口座の約90パーセントが「リスクが低い」とされていた口座が転売などで不正利用されていることが判明しています。
そのため、リスク格付け自体の見直しが一部の銀行で進められており、金融庁もリスク格付けと実際の凍結事由との乖離を重要視しています。このため、今後は不正口座の判断をより厳密に行うため、有効性検証やモニタリングの義務化が進むとされています。
リスク格付けの要素の1つとして、「Grid Data KYC」を利用して連絡が可能かどうかスクリーニングをかけていきます。リスクレベルがローでも、「Grid Data KYC」を使用した際に連絡が取れないケースが4割から5割程度発生することがあります。連絡が取れない時点で、本来リスクレベルはローではなく、ミドルやハイに分類されるべきだという話になります。
そのため、銀行が行うリスク格付けを見直すためのツールとして、「Grid Data KYC」を検討していただけることにもなります。
現在、とある銀行では、毎年すべての口座を対象に照会を行うという意思決定がされています。はがきを送る方法に代わり、全件照会を通じて連絡が取れるかどうかを確認し、連絡が取れない場合はリスクレベルをミドル以上に引き上げます。
そして、ミドル以上のリスクがある顧客については、「Fraud Alert」を使用して入出金やログインの履歴のモニタリングをより厳密に行うオペレーションを進めています。
このようなやり方によって「Grid Data KYC」に関しても顧客に対するDX化が大いに進むのではないかと考えており、現時点で実施しています。
質疑応答:ARR・MRR、売上構造と成長戦略について
司会者:「『Grid Data KYC』のクレジットカード会社における収益モデルをもう少し詳しく説明してほしい」というご質問です。
島津:ARRに関して、新規入会の部分では500万円から1,000万円程度です。継続的な顧客管理においては、現在提示している見積もりが5,000万円から約1億5,000万円となっています。これらはARRによる収益として算出しています。
また、クレジットカードや銀行口座においては、月間サブスクリプションとして「ここまで照会したらいくら」という方式を検討していますが、すべての口座を一括で管理し提供する方式も選択肢として考えています。
その場合、収益モデルはMRRやARRではなくなり、年に1度、すべての口座やクレジットカード保有者を対象にスクリーニングを実施する方式となります。このようなかたちでは、一括でまとまった収益を得るモデルになり、サブスクリプションに基づかない収益が発生する可能性もあると考えています。
そうなると、サブスクライブの売上と一括のワンショット売上という2つの側面について、「Grid Data KYC」に関して対応していく必要があると思います。そのため、年間の総売上に関して、何社からいくら取るのかという営業目標を設定するようなかたちになりそうです。
また、「Grid Data KYC」を当社としては第2の柱とし、なんとかトップラインを伸ばしていきたいと考えています。現行の売上高の成長率はなかなか投資家の予算としては許容しにくい部分もあるかと思いますが、せっかくグロース市場に上場している以上、やはり成長率3割から4割を目指していきたいと考えています。
「Fraud Alert」と「Grid Data KYC」によってCAGRを回復させるべく、今年1年間全力で取り組みたいと思っていますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いします。
本日はお時間をいただき、誠にありがとうございました。
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