LOIVE前川社長が実践する自己肯定感を軸にした組織づくり 女性社員99%の会社がスケールし続ける理由
新morichの部屋vol.30 株式会社LOIVE 代表取締役社長 前川彩香様

森本千賀子氏(以下、morich):株式会社morich代表取締役社長の森本です。
福谷学(以下:福谷):株式会社START UP STUDIO代表取締役の福谷です。今宵も「新morichの部屋」が始まりました。新年、あけましておめでとうございます。
morich:おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
福谷:年が明けましたが、今年の抱負などはありますか?
morich:今年は、「新しい体験」をたくさんしようと思っています。実は去年の年末に、ほとんど練習せずにホノルルマラソンに行ったんですよ。
福谷:行きましたね! その後ピンピンしているという。
morich:そうなんですよ。みんなから「本当に行ったの?」と言われて。私でも行けるんだったら「行こうかな」みたいな方がたくさん出てきたのですが……。やめたほうがいいと思います。
福谷:やめたほうがいいんですか?
morich:軽々しくはやめたほうがいいですね(笑)。ちゃんと練習したほうがいいです。そのような体験をして、味をしめました。今年はそれ以上のことをいろいろやりたいなと思います。
福谷:例えば、どんなことですか?
morich:富士山に登ります。登ったことはありますか?
福谷:ありません。私はけっこうアクティブに見えて、何もしないんですよ。
morich:確かに、汗をかくイメージがありませんね。
福谷:新たにいろいろなチャレンジをしていくということですよね。いいですね。楽しみです。私は特にまだ何もないんですが……。でも、やはりおっしゃるとおり、新しいチャレンジはしていきたいですね。
morich:もうすでにたくさんやっていますけどね。
福谷:はい、いろいろなチャレンジをさせていただいており、そのあたりはアクティブかと思います。
morich:この「新morichの部屋」も、今まで1回も休んでないんですよ。いつもライブですから、ドキドキするのですが。
福谷:そうですよね。1ヶ月に必ず1回、しかも上場企業の社長を呼ぶということは、他では絶対に真似できないです。
morich:本当に穴を開けられないので、あとは健康管理ですね。
福谷:確かにそうですよね。ということで2026年も始まりましたが、今日はなんと、スタジオに華があります。
morich:そうなんですよ。いつもは黒いスーツに黒いシャツ、みたいにけっこう真っ黒なんです。でも今日は本当に華があって、オーディエンスの方も女性の比率がとても高いです。
福谷:本当に華がありますね。2026年のスタートとして、私もうれしいです。
morich:うれしいですよね。2026年一発目は、もうこの人をぜひ呼びたかったんです。
福谷:確かに、ずっとおっしゃっていましたもんね。
morich:新春一発目にと思って、待望のこの方にターゲットを絞っていました。
福谷:計画済みだったんですね。
morich:そうなんです。では早速、今日のゲストをお呼びしたいと思います。株式会社LOIVE代表取締役社長、前川彩香さんです。
前川彩香(以下、前川):よろしくお願いします。
morich:よろしくお願いします。みなさまも楽しみにされていると思いますので、簡単に自己紹介をお願いします。
前川社長の自己紹介

前川:株式会社LOIVE代表取締役社長の前川彩香と申します。創業して18年になります。
「目的型フィットネス」として、ピラティスやホットヨガなどのグループレッスンを行うフィットネススタジオを全国に展開しており、3月末で200店舗になります。1人のインストラクターに対して20人、30人でレッスンを行うようなスタジオです。
福谷:すごい!
前川:直営でやらせていただいていて。
福谷:すごい!
前川:なんと、社員数はだいたい1,100人くらいです。
福谷:すごい!
前川:そして、99パーセントが女性という会社です。
福谷:すごい! 3連発の「すごい」はよくあるのですが、4連発が来ましたね。
morich:そうなんですよ。まだまだ続きますから。
前川:そのようなところで成長させていただき、昨年4月にグロース市場に上場させていただきました。
morich:地方出身かつ社員の99パーセントが女性の上場企業って、実は本当にないんですよ。
福谷:日本一ですね。
前川:ありがとうございます。
morich:『Forbes』さんとか、『経済界』さんとか、「ザ・おじさん社長」が並ぶ中で表彰されるなど、今、飛ぶ鳥を落とす勢いです。
福谷:最近メディアでよく見ますもんね。
morich:そうなんですよ。コメントにもただならぬオーラが出ています。同じ女性からも「前川さんが大好き」という声が多いんですよ。
10年前の出会いと上場への道 CFO採用が転機に
morich:私は元リクルート時代に、実はビジネスで最初に彩香さんにお会いしています。どのくらい前ですかね。
前川:ちょっと振り返ってみたのですが、2016年だったんですよ。
morich:ええ! すごい。
前川:すごいですよね。約10年前です。
morich:まだリクルートに勤めていた時に初めてお会いして、「人や組織を強くしたい」というお話をうかがったのですが、ぜんぜん変わっていませんね。
前川:採用のご協力をいただいたり、現在の取締役や社外取締役をご紹介していただいたりしました。初めて会った時にたぶん私が「上場する」と言ったと思うのですが、その時に「そのためには優秀なCFOが必要だ」と教えてくださったのがmorichさんです。
morich:組織のことをいろいろ聞いていくと、ちょっとファイナンス部門が足りないなと思いました。そこがある種の鬼門だったんですよ。「CFOを採用しましょう」ということで、最高の人材をご紹介しました。1つのターニングポイントですよね。そこから本当に、上場も含めて有言実行です。
福谷:なかなかできないですよ。
morich:その間にいろいろなハードシングスがありましたよね。
前川:ありました。
morich:そのあたりもうかがっていきたいと思います。
幼少期からの計画性と「あなたならできる」の原体験

morich:彩香さんと私は10年前からの知り合いなので、小さい頃のことは知らないんですよ。北海道のご出身なのですが、どんな幼少期だったのか教えてほしいなと思っています。
福谷:気になります。「morichシャワー」を今日は浴びてきたんですか?
morich:もともと彩香さんのことは知っているとは思っていたんですが、いろいろ調べていったら奥が深すぎて、知らないことばかりでした。
福谷:なるほど。ちなみに「morichシャワー」ってご存知ですか?
前川:わかりません。
morich:ゲストの社長のことを隅から隅まで調べるということです。
福谷:情報をシャワーのように浴びまくるという。
morich:プライベートでお会いすることも多いので、知っているつもりでいたんですよ。でも、「いったい何を知っていたのか」と思いました。
いろいろ調べて初めて知ったことも多かったのですが、特に幼少期のことは私も今まで深く聞いていませんでした。世の中の人も「どのような子どもが何を思ったらこうなるのか」と興味津々だと思うので、あらためて教えてください。
前川:小学生の頃も含めて、小さな頃はすごく好奇心が強い子どもでした。小学校の担任が4年生から6年生まで同じだったのですが、けっこう衝撃的なくらいクリエイティブな先生で、その影響を大きく受けました。
朝会も、先生が作った音楽に合わせてみんなでダンスをしてから始めるんです。
morich:エキサイティングな感じでおもしろいですね。
前川:毎月席替えがあって、その机の配置も全部違うんですよね。
morich:普通の教室の形じゃないのですか?
前川:そうなんです。普通の教室の形じゃなくて、いろいろな形で席を決めるといったように、想像力のある先生でした。私が作詞を、先生が作曲をして、クラスや学校の歌を作ったこともあり、その歌が10年くらいずっと学校で歌われていました。
私はその頃から企画することが好きで、小学校6年生の時に児童会長をやっていたんですよ。選挙もけっこう戦略的にやりました。
morich:今は女子が児童会長になることもだいぶ多くなりましたが、当時はまだ男子がやることが多かったですよね。リーダーシップを発揮していたのですね。
前川:そうですね。「番組をやらせてください」と言って、毎週水曜日はその児童会の番組を企画してやっていました。
福谷:すごい。
morich:けっこう今につながっていますね。
前川:すごく好奇心が強いのと、「なんでも一番が好き」みたいな感じでした。「一番になるためにどのように計画を立てて実現していくか」と計画をきちんと立てるタイプでした。よく「感性っぽい」と言われますが……。
morich:そうですよね。どちらかというと、長嶋茂雄監督系かと思いきや野村克也監督系も入っていますよね(笑)。
前川:実はかなり計画的です。今でもタイムマネジメントなどはそうなのですが、それこそ大谷翔平さんのような中期的な目標設定シートを小さい頃から作っていました。そこで描いた夢を全部実現していくということをやってきたタイプです。
morich:確かに、仕事上でも接点がありますけど、彩香さんは本当に緻密です。私も最初は彩香さんはひらめき型だと思ったんですが、実はきちんと計画を立てるタイプです。
前川:意外とそうなんです。かなり細かいタスクに落とし込んで、「今日やること」「明日やること」がすべて決まっているみたいな感じです。父からは、すごく「自立」というものを教育されたなと思っています。「自分の責任は自分で取っていく」と言われていました。
morich:それは小学校からですか?
前川:小学校、中学校くらいから「自分の責任は自分で取れ」「すべて自責で、自分が源」というふうに教育されていました。そして母からは、すばらしい愛情をいただきました。
morich:それは本当によく聞いています。今の彩香さんを作っていますよね。
前川:そうなんです。母からの愛のシャワーをたくさん浴びて、自己肯定感高く育ちました。どんな状態であっても、「あなたはできる」「あなたはすばらしい」「彩ちゃんはすばらしい」と言われて育ってきたんですよ。
morich:それが今のLOIVEの経営に活きていますね。
前川:LOIVEは「自分を愛し、輝く女性を創る。」というパーパスを掲げています。そして、私が1号店を作った時にメンバーに言っていたのが、「あなたならできる」という言葉なんです。でも、それは母から来ているんです。
morich:それをお母さまが聞いたら泣きますね。
前川:実は社員が1,000人になっても、いまだに店長やリーダーの子たちが、一般のスタッフたちに「あなたならできる」という言葉を掛けています。
morich:そのようなカルチャーなんですね。
前川:伝承されているという感じです。
morich:やはり言われたことは覚えていますか?
前川:覚えていますね。そもそも私はそのように言われてきたから自信がすごくあったし、自分を信じる力も夢を描く力もあって、自己肯定感が高かったんです。
私たちは今、会社を経営して組織のマネジメントをする中で、心理学とかあらゆるものを学んで研修のベースを作っているのですが、その時に自分の自己肯定感が育ったのはこのような体験からだということがわかりました。
morich:よく家庭環境が重要と言いますが、やはりそこなんですよね。
前川:すごく感謝しています。
morich:今でこそ彩香さんは起業家のロールモデルのようになっていますが、「起業しよう」とか「将来社長になろう」みたいな思いは、どのあたりから芽生えたんですか?
前川:15歳です。
福谷:15歳!
morich:ちゃんと覚えているんですね。
前川:覚えています。高校1年生の1学期で、私は12月生まれだから15歳ですね。
morich:なぜ、そう思ったんですか?
前川:「18歳になったら免許も取れるし、20歳になったら大人になる」そう思った高校1年生の1学期の時に、「大人」への出口というのは何かということを考えたんです。まずはもちろん「働く」ということじゃないですか。子どもから大人になる、社会人になるというところを考えた時に、何の仕事をしようかと思ったんですよ。
その時に、私はすごく気が強くて生意気なので……。
morich:私と同じですか?
前川:はい、そうなんですよ(笑)。人に指示とかされたくないし、人の下につくのは無理だと思いました。
morich:その当時からもう気づいていたんですね。
前川:気づいていたんです。それでも、当時はフリーランスとかなかったので、消去法で起業するしかなかったんです。
morich:消去法でですか!?
前川:そうです。人にマネジメントされることはきついから、無理だと思ったのです。
ホットヨガで起業 勘とビジネスモデルで掴んだ勝ち筋

morich:そう思いながらも、本当に起業しちゃう人はなかなかいません。しかも結婚もされて、専業主婦時代がある中で、そこからいきなり起業ですよね。そのあたりのお話は、実はあんまり聞いていませんでした。
前川:結婚する時、夫に「私は起業する」と言っていたんです。そうしたら「子どもが3歳までは育児に専念して、そのあとに起業してほしい」と言われたので、きちんとそのとおりにしました。
morich:言うことを聞いたのですね。
前川:まあ、愛する人ですから、子どもが2歳半くらいになってから起業の準備をしました。
morich:言われたとおり、子どもが3歳になってからというターゲットを決めていたんですね。その時、何をするかは決めていたんですか?
前川:何をするかは決めていなかったのですが、そのタイミングの時にビジネスチャンスが現れたという感じですね。
morich:何をして起業しようかと思った時、たぶんいろいろな選択肢があったと思うんですよ。それをなぜ選んだんですか?
前川:勘です。
morich:え、勘!? それは勘なんだ(笑)。
前川:そうなんです。でも、ホットヨガのビジネスモデルも1つの理由でした。
morich:当時、ホットヨガのスタジオはいくつかあったんですか?
前川:東京にはありましたが、それ以外にはほとんどありませんでした。
morich:全国とか地方にはなかったんですね。
前川:私が起業した北海道ではホットヨガのスタジオはありませんでした。ちょうど起業しようというタイミングの時に、人生がなかなかうまくいっていない友人たちがいて、彼女たちを集めて起業しようとまず思ったんです。
その友人の1人が東京にいて、「ホットヨガがすごく流行っているんだ」と聞きました。ビジネスモデルとして、インストラクター1人が何十人に対してサービスできるということで、人件費効率がいいと思いました。
morich:確かに。どこからその発想が出てきたのですか? 専業主婦だった期間なので、そのようなことを学んでいたわけではなさそうですが……。
前川:私は10代の頃から起業しようと思っていたので、例えばご飯屋さんに行っても、無駄に全部のテーブルを回って「どれくらいの客単価なのかな」と見ていました。人が何人いるか数えて、家賃はこれくらいかなと考えて、この会社はどのようなビジネスモデルなのかといったことをいつも、どこに行っても考えていたんです。
morich:マジですか?
前川:そのようなことが趣味でした。
morich:趣味で!?
前川:趣味です。例えば東京ディズニーランドに行ったとして、ポップコーンを買うところに並ぶじゃないですか。その間にずっとそのポップコーンの列を見て、時間も見て、どれくらいの回転率なのか、営業時間はどれくらいか、雨の日はどうなのかといったことを計算して、「このポップコーンは月にだいたいこれくらいの売り上げだろう」と考えるのが趣味でした。
morich:趣味!?
前川:趣味です。
福谷:いやもう、ほとんどAIの域ですよ。
morich:MBAに行くよりも、そちらのほうがいいかもしれないですね。トレーニングになります。
前川:本当に、飲食店に行ったら無駄に全テーブルを回って、メニューを見て計算するというのが趣味でした。
morich:先日、あるプライム上場会社の社長と会食したのですが、その方も小さい頃からそれが趣味だったみたいです。本当に「この店は売上がいくらで、利益がどれくらい」「これをもっと改善するにはこうしたらいいのに」と思ってしまうらしいです。
前川:私も同じです。「これをやったらもっと売れるのにな」「もうちょっとこの営業をこうやったら、こういうふうにできるのにな」「こういうサービスをしたらもっといいのにな」みたいなことを考えるのが趣味です。
ですから、「今、東京でホットヨガが流行っている」と聞いた時に、「北海道にない」「1人対何十人でサービスができる」「人件費効率がいい」「箱と人件費と広告費しかかからない」ということで、いわゆる仕入れがないから利益率がすごく高いなと考えました。それを北海道で最初に手がけたら絶対に流行ると思って、ホットヨガをやることにしました。
morich:なるほど。もう1つは、女性にフォーカスしたという点ですよね。その点はもともと考えていたのですか?
前川:「女性がもっと活躍できるように」とは考えていました。私は子どもを産んで専業主婦になったのですが、私には専業主婦は合わないじゃないですか。
morich:合わないですね。旦那さんを待って、ご飯を作って……みたいなことは想像がつきません。料理は上手なので専業主婦をしていた片鱗は見えますけどね。
前川:ありがとうございます。ですから、ライフステージによってキャリアが分断されるというところはすごく課題だと感じていました。「女性がもっともっと活躍できるようにする会社を作りたい」という思いは継続的にありましたね。
morich:それに加えて、ホットヨガのポテンシャルでしょうか。掛け算で、「これだ!」と確信されたのですね。
前川:「これだ!」と思いました。でも、早くやらないと東京から本物が来てしまいます。その当時、私はヨガもやったことがありませんでした。
morich:わお! そうだったんですね。
前川:それなのに、ホットヨガがいいと思って「やる」と決めて、東京にホットヨガを体験しに行ったんですよ。そうしたら、実はその日の朝に、腰がぎっくり腰の手前みたいになってしまったのです。
morich:え?
前川:でも、もう行かなければならないし、飛行機も取っているから、腰がすごく痛い状態でホットヨガを受けたんです。
そうしたら、ホットヨガが終わったら腰痛が治ったんです。
morich:え!? すごい。なんだかもう、神様のお導きというか。
前川:「これだ!」と思って、絶対にホットヨガをやろうと決めました。でも、ヨガをやったことがない私が人を集めてやるとしても、本物が来てしまったら結局負けてしまうと思いました。したがって、いかに早くやるかというところで、決めた半年後にはもうスタジオをオープンしました。
morich:でも最初は、それなりの経済力が必要じゃないですか。お金はどうしたんですか?
前川:企画書も書いたことがないし、どのようにするかもわかりませんでした。
morich:主婦からですものね。今だったらフリーランスで始めようかという選択肢もありますけどね。会社として、組織として資金を集めるということですよね。
前川:友人に経営者がいたので、その人に「企画書の作り方を教えてほしい」と頼みました。その時に、どうやら起業するには投資家を集めるみたいだという情報を得たわけです。それで、作り方を教えてもらって企画書を作ったら、その経営者が「自分が出資したい」となりました。
morich:その人は先見の明がありますね。「彩香さんいけるぞ」と、それでトントン拍子で決まったんですね。エンジェル投資家的な感じですか?
前川:そうです。
morich:最初の1号店は、それで無事オープンしたんですね。
1号店の成功と“閉店”の決断 理念/パーパス経営の原点
morich:その後は順調にいったのですか?
前川:実は最初から順調だったんです。ホットヨガはすでにニーズがあるのに、北海道にはスタジオがありません。でも、みんなテレビとかで東京の様子を見ています。それで私がスタジオの予約を開始したら、オープン前に1ヶ月間の予約がもう全部埋まっちゃったんです。
morich:えー!
福谷:えー!
前川:1日に二百何十人もの新規のお客さまからの電話が鳴りやまず、すぐに全部の予約が埋まるというかたちで始まりました。
morich:本当ですか!? 最初は閑古鳥が鳴くというケースが多い中で、そんなのほとんど聞いたことがないですよ。
前川:マーケティングの上流として、結局「ニーズがあるところを先取りしてやる」、つまり「売れるために何かをやる」というよりは「売れるものをやる」という感覚をここで学びました。
morich:一方で、社員も必要じゃないですか。そこはどうしたんですか?
前川:最初は友人たちを集めました。まず早く始めることが重要だったので、ヨガの勉強をしてもらいました。
morich:えっ!? 集まった人たちは、そこからヨガを始めるんですよね。
前川:そうです。数ヶ月間でトレーナーの技術を習得します。
morich:マジですか!?
前川:ヨガの勉強をしてトレーナーになって、オープンしてからもずっとトレーニングしながらスキルを上げていったというかたちです。
初めてのホットヨガなので施設もないから、工事もギリギリだったんですよ。会社で1軒借りているトレーナーの家があったので、加湿器を4台とストーブを5台くらい入れて、そこで練習しました。
morich:ホットな環境ですね。
前川:テレビが壊れました(笑)。
morich:暑すぎてですか?
前川:暑すぎてテレビが壊れて、窓のサッシも歪むみたいな。
(一同笑)
前川:でも、ホットな環境でトレーニングしないといけないので。
morich:確かに。トレーナーさんも慣れていないといけません。
前川:そうです。湿度と熱で家がやられました。
morich:それはおもしろい(笑)。そこから次のターニングポイントは、どんなタイミングだったんですか?
前川:1号店の半年後、2号店をすぐにオープンしたんです。2号店は170坪くらいの、すごく大きい箱で勝負をしました。
morich:彩香さんが借りたんですか? そのお金はどうしたんですか?
前川:そのお金も出資していただいて、私が借りました。2号店を始めたら、当然私はその170坪の2号店にかかりっきりになりました。そうなると、結局マネジメントがうまくいかなくなったんですよ。
morich:やはり経験がない中で、ハードシングスがやってくるんですね。
前川:そこで振り返ったら、1号店の従業員がどんどん辞めていくという状況でした。久しぶりに1号店に行ったら、もうみんな死んだ魚みたいな目になっていました。どんどん人が辞めていく中、店長はその責任だけを抱えていたのです。
そこで「マネジメントもベースを作らないといけない」と思いました。結局、どんどん売上が悪くなっていく1号店をいったん閉めたのです。
morich:すごく思い切った決断ですね。
前川:会員の契約もまだありましたが、もうこれは違約金を払ってでも一回閉店して統合しないといけないと判断しました。1号店と2号店は隣の駅なので、お客さまにとっては近かったというのもありました。
morich:統合した2号店のほうに移ってもらったんですね。
前川:お客さまに移ってもらって、経営と店舗を統合して、もう一回マネジメントのベースを作るというところで、「理念/パーパス」が生まれました。
パーパス経営として、この目的をどう浸透させるかなど、今のようなマネジメントのベースはそこでできました。そこからしっかりと準備をして、マネジメントの土台となる研修や仕組みを作るということに重点的に取り組みました。
morich:パーパス経営は誰から学んだのですか?
前川:その当時のメンターから学びました。
morich:その方自身がそのような経営方針だったのですか?
前川:パーパス経営ですごく大きく成長された方で、その方から学びました。
morich:彩香さんって、本当にすごく勉強家なんですよ。
福谷:聞いていても、そのとおりだなと思います。
morich:世の中のありとあらゆる研修を受けていて、本当に自ら勉強しています。ビジネスとしての戦略も本当にすばらしいのですが、やはり彩香さんの一番の強みは人をマネジメントするノウハウだと思います。
前川:ありがとうございます。
morich:もう少し聞いていきたいなと思います。店舗を統合してパーパス経営を取り入れたら、何か変わりましたか?
前川:意識の統一ができたことで、業績も大きく変わってきました。やはり人の意欲が変われば業績も変わるし、サービスも変わってきます。私たちの仕事はサービスをすることで対価をいただいているので、「人」が商品だと言えます。
私たちのパーパスは「自分を愛し、輝く女性を創る。」ということです。働く「人」が生き生きとしてキラキラと輝いて、「この仕事を通してこうしたい」という思いをレッスンを通して実現していくことが一番重要なのです。
実はその時以来、マネジメントに困ったことはありません。
morich:社員数1,100人まで?
前川:そうですね。
福谷:そうなんですか!
morich:普通は「100人の壁」など、300人、500人あたりで「人数の壁」と言われるものがあるんですよ。だいたいそのくらいで組織崩壊を起こしますが、それがないということですよね。
前川:はい。人で困ったことがないんですよ。
morich:それはもう、奇跡の会社です。
前川:みんなのおかげです。
morich:彩香さんはいつも「みんなのおかげ」って言うんですよ。私もLOIVEで働くその「みんな」に本当にたくさん会っているのですが、自己肯定感が爆発的に高いんですよ。やはり自分を愛してこそ、お客さまや関係者を愛せるということですよね。
前川:はい、その順番です。
福谷:確かに。
前川:働く人たちが能動的に「思い」を持って仕事をして、結果にもしっかりコミットすることで、お客さまもサービスに満足することができます。お客さまはヨガとかピラティスといったスキルを求めて来るというよりは、「この人たちに会いに来る」という感じです。「この空間に来ること」が自分の人生の一部になっているという方がたくさんいらっしゃいます。
morich:だから解約率がすごく低いんですよね。先ほどのお話のように、ヨガをやりに行っているのではなくて、「この人たちに会いたい」から行くということなんですよね。
前川:そうですね。
福谷:心が洗われて、きれいになっていく感じがします。
morich:順風満帆に聞こえますけど、ハードシングスはあるんですか?
前川:もちろんあります。
福谷:あるんですか?
morich:みなさま「絶対あるはずだ」とその話題を求めています。。
前川:たくさんありましたね。
morich:まずは北海道を攻めて、そこから全国に進出したんですよね。
前川:北海道の次は仙台に行って、東京を飛び越えて関西や中国地方などに広げていきました。そのあと東京に入ってきたという感じですね。
コロナ禍でも新卒100人を全員採用 即日休会の判断

morich:その中でのハードシングスというかターニングポイントとして、どのようなことがありましたか?
前川:一番大きいのは、やはりコロナ禍ですね。全店休業になりました。緊急事態宣言で全店がクローズするという状況で、しかもその時は店舗を拡大している最中でした。2月にコロナ禍となりましたが、すでに4月入社の新卒採用が100人くらい決まっていたんです。
morich:2月の時点でもう決まっていたのですね。
前川:もう内定を出していたんですよ。そのため、採用するのかお断りするのかの意思決定が最初に求められました。
福谷:どうされたんですか?
前川:全員採用しました。
福谷:うわー!
morich:彩香さんはどうするんだろうと思っていたのを、私も覚えています。飲食とか店舗型ビジネスは、けっこう内定取り消しをしたんですよ。
福谷:そのような会社が多かったですよね。
morich:仕方がないですよね。既存の社員も守らないといけません。
前川:私が思っているのは、ピンチの時に経営者がどのような意思決定をするかがとても大事だということです。その決断が、今までやってきたことと一貫しているかどうかです。
morich:確かに。社員を大事にするって言っていたのに……。
前川:それは他の社員もやはり見ています。私たちはパーパスを実現するということで、まずはメンバーに「みんなが自己肯定感高くなろうね」と言っています。
それなのに、私たちが入社してほしいと思っていて、相手も入社したいと思って約束してくれたメンバーに対して、「お金がどうなるかわからないという状況だから」とお断りするのは、人としてすごく良くないことじゃないですか。まず、「採用しよう」と決めましたね。
morich:決めたんですね。一方で、資金繰りも大変じゃないですか。それはわかっていたけれど、「なんとかするぞ」ということですね。
前川:それはもう迷わず意思決定しました。
morich:それなんですよ。彩香さんはなんとかしてきたんですよ。
前川:なんとかなっちゃうんですよね。でも、それともう1つの意思決定がありました。私たちのフィットネスは、月額のサブスクなんです。解約も休会も、手続きをすると1ヶ月半後くらいに反映されるのですが、当時はすごくパニック状態だったじゃないですか。
morich:本当に急なことでしたからね。
前川:お客さまから「今すぐ解約したい」「今すぐ休会したい」と連絡が来ますが、ここで「オッケーです」と言ってしまうと、売上がすぐにゼロになってしまいます。
morich:そうですよね。
前川:でも100人採用しているし、まず3日間、本当に悩みました。
福谷:悩みますよね。
morich:経営者の意思決定としては、どうしたのでしょうか?
前川:とても悩みましたが、銀行などと交渉中でお金もまだ用意できていない状況でした。
morich:コロナ禍がどうなるのか、まったくわからない状況でしたよね。3ヶ月後にもしかしたら収まるかもしれないけど、何年もかかるかもしれないという状況でした。
前川:未来が見えないという状況の中でしたが、3日経ってすぐみんなに連絡して「即日休会を受け付けよう」と決めました。不安な気持ちで「すぐに解約・休会したい」というお客さまに対して、自分たちの利益を優先して即日対応しないというのは、今までやってきたことや「こうありたい」と常日頃から思っている私たちのパーパスと違うということです。
私たちが業界で最初に、即日休会対応のために動きました。休会といってもすぐに復活できるなど、自由に選択できるかたちを作りました。
ラッキーなことに、その前の年に初めて外部からエクイティを入れていたんですよ。それまで株式は私が100パーセント保有していたのですが、CB(転換社債型新株予約権付社債)というかたちで、上場も視野に入れた資金調達を行い、支援していただいていました。
そこであらためて重要だと感じたのは、私たちのビジョンやパーパス、哲学にしっかりと共感してくださる株主を選んでいたという点ですね。やはり、株主がどのようなスタンスや価値観を持っているかは、とても重要だと思います。
morich:本当に、その点は彩香さんから学ばせてもらいました。
前川:お金って、よく血に例えられるじゃないですか。だからこそ、どんな人や組織からお金を入れるのかはすごく大事です。その前の年に、しっかりと良い株主を迎えられていたことが、いざというピンチの時に効いてきたんですよね。「すぐにお客さまのために動いたほうがいい」という判断ができたのも、そのおかげでした。
morich:株主の方々も、そうした判断を応援してくれていたのですね。お金をどう使うのかは、やはり株主にとっても気になるところですからね。本当は反対する人がいてもおかしくなかったと思いますが、結果的にそうならなかったのは大きかったです。
前川:その株主の1人が、石倉さんですね。うちの社外取締役でもあります。
morich:ご紹介させていただきました!
前川:morichさんにご紹介いただいた石倉さんが、本当に大きな存在でした。社内では反対の意見もあったそうですが、「ここで助けなきゃ、どこで助けるんだ」ということで、即座にCBを入れてくださって、「お客さまのために、すぐそれをやりましょう」と言っていただきました。そのおかげで、お客さまにすぐ対応することができました。
morich:私も石倉さんがあんなに熱い方だとは思っていなかったです。LOIVEさんに入られてから、何度も感動して泣いています。「仕事をしていて、こんなに泣いたことは初めてだ」と思うくらいだそうです。
前川:その判断があったからこそ、結果的にコロナ禍が明けた時に、休会からの復活がスムーズに進みました。休会や復活が柔軟にできたことで解約を抑えることができ、復活のスピードも非常に早かったと思っています。
もしそこで解約が増えていたら、新規集客にはコストも時間もかかっていたはずです。そのような意味で、当時の私たちの意思決定は、非常に良い判断だったと振り返っています。
福谷:すごいですね。
morich:お客さまも本当にLOIVEのファンなので、たぶん半分くらいは応援する気持ちでいらっしゃったんだろうなと思います。それが復活につながったということですよね。
前川:それが一番のハードシングスでした。やはりそのようなピンチの時に経営者として試されるという感じがしますね。
morich:でも、眠れない日もあったのではないですか?
前川:いや、それがなかったんです。
morich:私が会っても、いつも「絶対大丈夫」と、まったく不安な表情は見たことないです。
前川:本当にないんですよ。日頃から「こうなったらこう対応する」という設計をいくつもしているんです。結果として、あまり不安になることはなかったですね。
女性社員が99パーセントの組織を動かすマネジメントの秘訣

morich:LOIVEは女性が99パーセントの組織ですよね。私もいろいろなお客さまを見てきましたが、女性が多い組織はマネジメントが大変だという声を本当によく聞くんです。私自身も女性なのでわかる部分はあるんですが、マネジメントする側は相当大変だろうなと思います。
それにもかかわらず、LOIVEは離職率が低くて、自己肯定感も高く、いわゆるエンゲージメントがものすごく高いです。どのようにしたらこのような組織を作れるのか、多くの方が気になっていると思います。
福谷:確かに。「困ったことはない」とおっしゃっていましたよね。
前川:ポイントはいくつもありますね。女性は感情が豊かだと言われますが、その感情をどう活かして、どう業績につなげていくか、きちんとしたロジックと型を作っています。
今日もついさっきまでオンラインで「女性マネジメントスキル研修」をやっていたんです。
morich:実は10年前から「いつかやりたい」と言い続けてきたことなんですよ。私たちのビジネスにとって、ホットヨガは手段だとおっしゃっていました。「LOIVEは女性が自己肯定感を高められる場であり、そこで働く人自身が誇りを持って仕事ができること」その考え方を、実践として積み重ねてこられました。
そして、これを世の中の会社にも広げていきたいと、ずっと言い続けてきたことが、ちゃんと今、実現されていますよね。
残り時間30分くらいなので語りきれないと思いますが、せっかくなので、ぜひその研修のポイントを教えていただきたいと思います。
前川:1つ目は、やはり「目的」を明確にして、それをしっかり浸透させることです。
女性をマネジメントする上で特に大切だと感じているのは、「何のためにこの仕事をしているのか」「何のためにこの数字があるのか」をきちんと理解してもらうことなんですよね。これが腹落ちしている時のパフォーマンスは、非常に高いんです。
「共感」から始めて、そこからどう「共鳴」させるか。そして、その共鳴をどれだけ「自分ごと化」できるかが重要だと思っています。
morich:ちょっとメモしていいですか?
福谷:大丈夫です。ちゃんと動画が残っています(笑)。
前川:「自分ごと化」した上で、そこからさらに「数字を理解すること」が大事だと思います。「何のためにこの数字が設定されているのか」「どのような背景があるのか」を理解してもらうことです。数字そのものも、自分で考えてもらったほうがいいんですよ。
morich:女性は数字に苦手意識を持っている方も多いですし、経営者側もそのように思い込んでいるケースはけっこうありますよね。「数字はあまり気にしなくていいよ」と言ってしまう経営者も多いですが、そこにもちゃんと「意味がある」ということですね。
前川:その意味を理解して「だからこの数字になるんだ」と腑に落ちると、「自分ごと化」してコミットできるようになります。そうすると、行動を具体的に落とし込んで、成果につながっていきます。そのプロセスをしっかり回していくことが大事だと思っています。
これは1つの例ですが、そうした型作りや、さまざまなチームビルディングの要素を使いながら、どう結果を作っていくかです。そこは一般的なマネジメントとは少しアプローチが違う部分もあるかもしれないと思っています。
外資系やアメリカ、欧州はフェアであることが当たり前ですが、文化的な背景が違いますから、日本はそもそもフェアとは言えない部分があります。
morich:制度面も含めてですよね。
前川:例えば、子育ては7割が女性で、家事分担も女性の割合が圧倒的に高いです。それは共働きであってもです。そう考えると、日本で働く女性を取り巻く環境は、決してフェアとは言えません。だからこそ、そうした文化的な観念や前提をきちんと理解し、時にはそれをブレイクスルーするマネジメントが必要になります。
そうした取り組みの積み重ねの中で、女性が成果を上げながら、自分らしく活躍していく環境作りこそが、私たちが得意としてきたことだと思っています。それを18年間やってきて、2025年10月からは人財育成プログラム「Mission'S」で、集合型研修として「女性をはじめとするすべての人がミッションを生きる」をコンセプトに研修を提供しています。
morich:ちゃんと事業として展開しているんですよね。ホットヨガの会社が、教育事業に乗り出しているのです。見学に来られる方も多いですよね。「どうしたら、あの会社みたいな組織になるんだろう」って、みなさま本当に興味津々です。
前川:全店研修の時には、よく見学に来ていただいています。
morich:LOIVEはこのような箱ビジネスで、しかも労働集約型の中で、時間制約がある中でも、女性がちゃんと前向きにビジネスに向き合っています。もう本当に、そのような組織は奇跡だと思っています。
全国展開でも人が集まる 転勤前提を魅力に変える採用戦略

前川:これからは、女性も含めて働き手がいなくなっていくので、女性がもっと働ける組織でないと、そもそも人が集まらなくなります。その意味で、採用は本当に重要だと思っています。LOIVEは採用に困ったことがほとんどありません。
morich:新卒採用も募集をかけると本当にたくさん来るんですよね。
福谷:「困ったことがない」という話が続きますね。
morich:続きますね(笑)。でも、それも偶然ではないんですよね。きちんとロジックがあります。
前川:はい。だからこそ、直営で正社員として雇用できるのだと思います。全国転勤が可能なメンバーが、全体の55パーセントもいるんです。
morich:そんなにいるんですか!
前川:インストラクターは約1,000人いますが、そのうち550人が総合職で、全国転勤にいつでも行ってくれる体制です。
福谷:それはすごいですね!
morich:女性で、というのがまたすごいです。特にZ世代は、今住んでいるエリアから離れたくないという人が多いですよね。
前川:男性でも転勤を断ると言いますよね。
morich:海外すら行きたくないという人もいますよね。なぜLOIVEは違うのでしょうか?
前川:LOIVEは、「挑戦したい、新しい店舗を立ち上げたい、自分も成長したい」というカルチャーがかなり強いんです。そもそも、新卒採用では約90パーセントが総合職で入ってきます。全国展開が前提だとわかった上で、それでも「入りたい」と言ってくれます。そのような熱量の高い人たちが集まってくるんです。
morich:最初から、ちゃんと伝えているんですね。
前川:伝えています。その上で、「それでもLOIVEに入りたい」と言ってもらえる熱狂的なファンとなっています。
morich:私は秋田でLOIVEのみなさんにお会いしたことがありますが、ものすごく寒い冬だったので、「ここに転勤です」と言われたら、私なら正直ちょっと躊躇します(笑)。
前川:それでも、みなさん喜んで行ってくれるんですよ。本当にありがたいです。
morich:そうすると、店舗展開の計画も立てやすくなりますね。人が採用できなくて拠点展開できない、という話はよく聞きます。
前川:そうなんです。インストラクターは基本的に女性が中心なので、全国転勤というのはなかなか難しいという理由で、直営で全国展開しようとすると参入障壁がかなり高いです。
morich:そのメソッドは、ご自身でトライアンドエラーを繰り返しながら見つけていったものなのですか?
前川:誰かから型を教わったわけではなくて、スケールする前に、まず土台を作りました。全国展開で壊れてしまうのは、結局「人」なので、どうすれば意欲の高い人が育ち、エンゲージメント高く働いてくれるのか、最初の数年は、あえて店舗展開を抑えて、その土台作りに時間を使いました。
morich:あえて、ですね。まずはノウハウやナレッジをためるということですね。
前川:はい。研修のベースを含めて、すべて整えてからスケールさせました。
morich:このメソッドはいける、という手応えがありましたか?
前川:ためた上で広げたので、確実に手応えはありました。
morich:私がすごく印象的だったのは、誕生日や記念日ですね。みんなでお祝いするじゃないですか。
前川:承認のサプライズをやります。
morich:あれはもう本当に100パーセント、みんな泣きますよね。
前川:自分で自分を承認するのは、なかなか難しいですが、誰かに承認してもらった時に、初めて立ち止まって「自分はがんばってきたな」とわかるんですよね。
福谷:うれしいですよね。
morich:やはり「自分は必要とされている」という実感が持てますよね。それが、本当にちゃんと感じられます。
前川:そうなんです。
morich:仕事で泣くことって、ありますか?
福谷:最近は、褒めてくれるのはAIくらいですよ(笑)。「あなたならできる」「大丈夫」って。
(一同笑)
morich:「福ちゃんがんばってるね」ってね。私も毎朝言われています(笑)。
福谷:「これどうかな?」と聞くと、「大丈夫、大丈夫」と言ってくれます。それですら泣きそうになります。
前川:AIが寄り添ってくれるんですよね。
morich:それが、LOIVEでは全員に起きているのです。
福谷:人があたたかいですよね。
morich:全員そうですね。でも、みなさんがもともとそのようなキャラクターだったり価値観を持っていたりというわけではないですよね。多少のポテンシャルはあったとしても、入社してから、ガッと変わるんですね。
前川:入社時にアンケートを取るんです。私たちのパーパスは「自分を愛し、輝く女性を創る。」ですから、「今、自分のことをどれくらい好きですか?」と聞きます。これが、いわゆる自己肯定感です。入社前は日本の平均くらいですね。日本の女性の平均はだいたい40パーセントくらいです。それが、入社1年目で70パーセント台になります。
morich:1年で?
前川:1年でです。さらにリーダーになると80パーセント台、店長になると94パーセント、95パーセントまで上がっていきます。
morich:役職が上がるほど、自己肯定感も上がるんですね。日本では、けっこうその逆になることが多いですよね。
前川:このアンケートを毎年取っているのですが、ずっと同じ傾向の結果が出ています。
福谷:すごいですね。
morich:そもそも女性は自己肯定感が低いし、特に日本の女性は、グローバルで見ても幸福度が低いんです。入社前は特別高いわけではなく、最初からモチベーションが高い人を採用しているわけではないんですね。
前川:そうです。むしろ、社内にパーパスを体現している社員がいるからこそ、「こんなふうになりたい」「自信をつけたい」「この会社に入ったら、自分のことを好きになれそう」と思ってLOIVEに入ってきてくれます。
morich:なるほど。そのようなものを求めて、集まってきているんですね。
役職への立候補が当たり前になる 挑戦を引き出す“承認”の連鎖

morich:自己肯定感を上げていくというお話はとてもよくわかるんですが、世の中的には、そもそもリーダーやマネジメントをやりたくないという人が本当に多いですよね。
特に女性は、リーダーシップのポテンシャルはすごくあるのに、「大変そう」「責任が重そう」と感じて、手を挙げない人が多いです。でも、LOIVEではみんながそれを「やりたい」と言うんですよね。
前川:うちは立候補制なんです。店舗の役職は、すべて立候補制で決めています。新卒でも、入社1年以内に立候補してくる割合が、昨年は88パーセントでした。
morich:新卒で1年未満で88パーセントですか!?
前川:それだけの割合の立候補があるんです。もちろん、そのあとには数字のミッションもありますし、研修のミッションもあるので全員が昇格できるわけではありませんが、そのようなプロセスで選抜していきます。
福谷:選挙のようなものはあるのですか?
前川:選挙はありません。数字のミッションがあって、そのランキングで上位の人が研修に進む仕組みです。
morich:それにしても、8割以上が手を挙げるって、すごいですよね。
前川:すごいと思います。88パーセントって、ほぼ9割ですから、LOIVEのカルチャーなんですよね。
morich:たしかに。まず「こうなりたい」という姿があるのが大きいですよね。
前川:それに加えて、先輩たちが「あなたは挑戦した方がいい」「あなたなら必ずできるから」と自信がない子にも声をかけるんです。
morich:お母さんみたいですね。
前川:先輩が引き出してくれるんですよ。
morich:「じゃあ私にもできるかも」と思えるのですね。
前川:そして、本人がコミットしたら、今度は周りがみんなで支え合います。一緒に達成できるようにサポートしてくれるんです。
morich:世の中では逆に「ああいう部長にはなりたくない」という声も多いですからね。
福谷:よく聞きますね。
前川:私自身も、子どもを育てながら起業して、もう18年になります。morichさんのお子さんと同じ歳で、もう成人しています。
morich:上場パーティーで、お母さんへの手紙を読んだんですよね。
前川:そうなんです。うちの娘が、社員の子どもたちを代表して手紙を書いてくれました。
morich:娘さんがお母さんへ宛てた手紙を読むのですが、もう100パーセント号泣でした。
前川:おじさんもおばさんも、みんな泣いていました。
morich:「どうしたら、こんな子どもに育つんだ」みたいな。
福谷:本当にすばらしいですよね。
前川:親が書かせたわけじゃないんです。本人が自分で考えて書きました。
当時はLIFE CREATEという社名でしたが、この会社の子どもたちを代表して「お母さんたち、仕事をして負い目を感じないでください」「お母さんたちを見て、私たちはそんなふうになりたいと思っています」「だから安心して、自分らしく生きてください」みたいなことを書いてくれました。もう、思い出すだけでちょっと泣いてしまいます。
morich:それを言える年齢じゃないですよね。
福谷:泣けますね……。
前川:私たちは、子どもを育てながら仕事もバリバリやって、そして楽しんでいるというのがロールモデルになっています。私だけじゃなくて、幹部も、マネージャーも、みんなそのようにしています。その姿を見て「楽しそう」「生き生きしている」と感じてくれます。
morich:本当に、みなさん楽しそうなんですよね。
福谷:見ていて、ちゃんと伝わってきます。
morich:イベントではみんなで演劇もやりますし、歌も歌うし、踊るんですよね。「そんなこと、私にはできません」じゃないんですよね。上手いかどうかじゃなくて、本人たちが一番楽しんでいます。
それって、単なる出し物の話だけじゃなくて、営業の現場や経営・マネジメントの現場でも、きっと同じことが起きているんですよね。
福谷:本当にすごいなと思います。
morich:たぶん、お客さまも、店舗に行くと「楽しい」と感じるんでしょうね。
前川:社員が育休から復帰するのもすごく早いんですよ。
morich:もう「会社に行きたくてしょうがない」みたいな?
前川:そうなんです。
フィットネスに加えHR領域へ LOIVEが描く次の柱

morich:この先、LOIVEをどのようにしていきたいですか?
前川:LOIVEは今はピラティス系の事業展開を猛スピードで進めていますが、店舗という「場」を広げていく一方で、多くの女性が「自分を愛し、輝く女性」になるというパーパスを実現できる会社でもあると思っています。
その意味では、フィットネスという文脈だけでなく、人や組織に向き合う、いわゆるHRの文脈も含めて、いくつかの柱を作りながら、さらに事業を展開していくフェーズに来ているのかなと思っています。
日本のエクササイズ系のブティックスタジオは、海外と比べてもクオリティが本当に高いんですよ。
morich:そうなんですか。
前川:サービスの質も含めて、とても高いと思います。そう考えると、このモデルは国内だけでなく、グローバルにも展開できる可能性があります。そのあたりも中期的な視点で考えながら、事業を広げていきたいと思っています。
morich:女性は世界中にいますからね。教育事業は、いわゆる女性のマネジメントや女性育成のメソッドだと思うんですが、これは本当に男性の経営者にも受けてほしいですよね。
前川:そうなんです。実際、男性もたくさん受けてくださっています。
morich:変わるんですよね。
前川:はい。ぜひ受けていただきたいです。
福谷:もう、絶対変わる自信しかないです。
morich:エピソードをお聞きしたのですが、社員のことが愛しくなるんですよね。
前川:実際に「10年経営してきたけれど、正直、社員を愛しいと思ったことがなかった」という方が、研修3日目に「今、社員に一番会いたくて、初めて愛しいと思えた」とおっしゃったこともあります。
福谷:子どもに会いに行く感覚と一緒ですからね。
前川:他にも、社長が研修を受けたあと、部下の方に聞いたら「愛を感じるようになった」「優しくなった」と言われたというケースもあります。
morich:私のフィロソフィーでもあるのですが、本当に「人は変われる」と感じます。彩香さんはそれを体現されていますよね。
前川:自分との関わり方が人との関わり方になるので、自己肯定感が高いと、人を信じる力や人を愛する力になります。逆に、自分に自信がなかったり、価値を感じられない状態だと、人を健全にマネジメントすることは難しいです。
これは仕事だけでなく、プライベートも同じです。やはり自分との関わり合いをより深くして自己肯定感を高めるということが、マネジメントにも仕事のパフォーマンスにも大きく影響する力になると思います。
morich:立派な経営者に見えても、実は自己肯定感が低い方って、意外と多いですよね。彩香さんの研修を受けると、まず自分を好きになります。福ちゃんは、もともと自分のことが好きだと思いますけど。
福谷:いやいやいや(笑)。
前川:そのようなことをHRの文脈でやっています。
福谷:本当に受けたいです。
morich:実際、受けられるんですよ。しかも今は特典で、彩香さんご本人が講師を担当されています。
前川:そうなんです。スタートの今だけですね。社内ではトレーナーを育成してきましたので私はもう行っていませんが、社外向けは経営者の方がとても多いので直接担当しています。
福谷:多いでしょうね。
morich:経営者が受けると、もれなく社員にも受けさせたくなりますから、そのうちエントリーもできなくなると思うので、今しかないです。
前川:ぜひぜひ。
morich:世の中の会社がLOIVEさんみたいになったら、本当にハッピーになりますよね。連鎖ですよ。今日もまた絶対、ファンが増えていますよ。
福谷:お話しするほどにファンが増えて、採用もできて、出資したい人も出てきて……すべてがハッピーですね。
前川:ありがとうございます。
morich:彩香さん個人として、やりたいことはありますか?
前川:個人というより、LOIVEと一心同体ですね。これは自分の使命だと思っていて、人生をかけてやっています。
morich:ライフワークですね。いわゆる箱の展開もありますし、教育事業に力を入れていくのでしょうか?
前川:教育事業はコミュニティにもなっていきます。そこから派生するビジネスも、実は中期でいくつもプランを立てています。
morich:さらにですか?
前川:具体的にはこれからですが、今の事業から派生していくことがたくさんあって、それが私たちにしかできないことだと思っています。
福谷:証券コードを聞いておきましょう。
morich:ファンの気持ちを表すのに、一番わかりやすいのは投資ですよね。
前川:352Aです。
morich:みなさま、メモしておいてください。
前川:応援してください。
morich:応援が教育事業への投資にもつながって、より多くの方に届くようになります。
前川:本当にそうだと思います。
起業家へのメッセージ 志とパーパスで意思決定する

morich:最後に、この動画を見ている起業家や、これから組織を大きくしていこうとしている方に、メッセージをお願いします。
前川:私は、志やミッション、パーパスが何より大事だと思っています。それがある経営こそが「実(じつ)」で、本当のスケールにつながると思っています。
まずは「自分は何のためにこの会社をやるのか」を明確にすることです。そして、その志を組織全体で実現しようとする人を育てることです。途中でハードシングスは必ず起きますが、そんな時こそ、ぶれない意思決定が未来を作ると思います。
ぜひ、どんな時も志やパーパスを忘れず、その方にしか、その会社にしかできない価値を社会に生み出していってほしいです。
福谷:もう、完全にファンです。
morich:そうでしょう? 私がずっと呼びたかった理由が伝わりましたよね。
福谷:はい、もうファンです。追っかけます。
morich:LOIVEさん、ぜひ応援してください。教育事業もどんどん紹介してほしいです。経営者の自己肯定感が上がると、それは社員に必ず伝播します。
前川:本当に、そう思います。
morich:エンゲージメントは、確実に上がります。
福谷:最後に聞いていいでしょうか。男性も働けるんですか?
前川:働けます(笑)。昨日の会食でも「会社をバイアウトして入れてください」と言われました。
morich:ただ、ハードルは高いです。女性が多いので「あの人と一緒に働きたい」と思われることが重要になります。「この人は浅いな」というようなところも含めて、人間性をすぐ見抜かれます。
福谷:なるほど。ちゃんと設計していきます。今日も本当に、いい学びの時間でした。
morich:私は何度も泣きそうになりました。本当に大好きです。
福谷:2026年の「新morichの部屋」もすごくいいスタートが切れましたね。またぜひお話ししたいですし、さらに言うと、彩香さんのお母さまにもお会いしたいです。
morich:確かに。私、お母さまにはまだお会いしていないんですよね。お嬢さんには何度かお会いしているのですが。
福谷:お母さまに、「あなたは大丈夫」って言ってほしいです。
(一同笑)
前川:息子でもないのに(笑)。
morich:確かに、そう言われたら、なんだか大丈夫な気がします。
福谷:それだけで、がんばれそうですよね。
morich:彩香さんのお母さまにも、本当に感謝したいです。お母さまがいらっしゃったから、今の彩香さんがいます。その存在が、世の中を少しずつ変えていくのではないかという予感がしています。
福谷:本当に、そう思います。今年もいいスタートが切れました。「新morichの部屋」は、これからも毎月続いていきます。
morich:これからも、魅力的な経営者の方をお招きしていきたいと思います。
福谷:いや、本当に今日はよかったです。もう完全にファンです。
morich:しみじみ、噛みしめましょう。
福谷:本日はお越しいただき、本当にありがとうございました。
morich:ありがとうございました。
前川:ありがとうございました。
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