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明日の株式相場に向けて=投資家を翻弄するAI、凪を待つのも相場

配信元:みんかぶ
著者:MINKABU PRESS
投稿:2026/03/05 17:30
 きょう(5日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1032円高の5万5278円と反発。2%近い上昇であり大幅反発といって間違いはないのだが、1日を通じてどうにもすっきりしない動きであり、玉虫色的で方向感の見えにくい地合いであった。中東情勢を気にしているようで、実際は「あさっての方向」を見ているような相場である。プライム市場の売買代金は9兆円台と引き続き高水準であり、決して投資家不在ではないのだが、その実、体温の感じられない地合いというべきか。これはAIトレードの影響が反映されている。ニュースフローに反応するわけでもなく、AIアルゴリズムに弄ばれるように上下に振れまくり、これに歩調を合わせるのは難儀ともいえる。目先的には少し距離を置いて眺める時間も必要である。

 株式市場に資金を投入するということを一般的には投資と呼ぶが、それは長期で金庫に鍵をかけて保有するような人に合わせた言葉だ。実際は多くの投資家にとって、もう少しあわただしさが伴う。覗くことすらできない不確定な未来と対峙するということ、そして結果として勝者と敗者に分かれるという観点では「勝負」としての要素が強い。博打に例えるのは不謹慎なようだが、感覚的にはゼロサムであって、人間心理が錯綜する空間で、いかに勝者として椅子に座るかを競っているというのが本質である。その場合、重要となってくるのは果たして何か。

 博打には「見(けん)」という選択肢があって、これは賭けずに見ているということ。全体の流れを見極めるため、あるいは勝ちやすい法則、自分に有利に働く条件をみつけるための時間帯で、プレーヤーとしては参加しない。これは株式市場の世界でも当てはまる。「待つも相場」という格言があるが、分からなければ勝負をしないというのも立派なストラテジーである。今はAIトレードが以前にも増してマーケットを支配しており、ひとたびスイッチが入ると人間は翻弄されるがまま、結局は相場が動いた方に、後から正当化する解釈をつけるのがせいぜいで、ともすればそれがメディアの役割のようになってしまっている。きょうの東京市場の全体指数のリバウンドは今朝の段階になれば、当然予想できるわけだが、問題は前日の大引け後の先物の値動きであった。

 前日の先物の夜間立会では、夕方の17時から日経225先物が急反騰モードとなり、ほとんど惑うことなく一直線に上値を指向した。あれよと言う間に20時現在で5万6200円どころまで上昇、現物取引終了時の水準からは2000円前後も高く、ショートポジションを立てている向きは焦らされたに違いない。なぜなら日経平均は朝方からひたすら下値を掘り続け、大引けもこの日の安値圏で着地する総弱気状態にあったからである。

 この日の大引け後に何が変わったのか、市場関係者に聞いても明確な背景は分からずじまいで、これは人間の思惑が錯綜する暇(いとま)を与えず、無機質なAIの「巻き戻しスイッチが入った」というよりない動きであった。その後、欧州時間の中ごろからドイツやフランスなど主要国の株価が軒並み買い優勢となったが、これはNYタイムズが、「米国とイスラエルがイラン攻撃を始めた直後、イラン側から停戦に向けた協議を求めて米国に打診があった」と報道したことが、強気転換の理由に挙げられている。この報道が事実なら、イラン側はできれば戦争を終結したいと言っているようなもので、それならばということである。しかし、これが報じられたのは日本時間では深夜23時過ぎであった。この日の夕方から脇目も振らず日経225先物買いに走った説明にはならない。

 そして、きょうはその流れのまま日経平均は大きく切り返す展開となった。先物に引っ張られ、一時2300円以上の急騰を演じたが、その後は先物主導で上げ幅を縮小。後場に入っても方向性に乏しい動きで、5万5000円台を右往左往する展開に終始した。結局1000円あまりの上昇で前日の下げの半分を取り戻した格好となっているが、チャートは十字足に近い形状で、25日移動平均線も終値で越えることはできなかった。アジア株市場全般に目を向けると、前日に12%の急落でサーキットブレーカーが発動された韓国KOSPIがこの日は9.6%高と鮮烈に切り返した。東京市場の遥か上を行くハイボラ相場だが、おそらくこれもAIトレードのなせる業で、投資家は戸惑っているのではないか。目先は、中東情勢を見守るというよりは大時化の相場には出ない、という選択肢が輝きを放つ。波が収束するまで待つべき時間帯といえる。

 あすのスケジュールでは、2月上中旬の貿易統計が朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。後場取引時間中に日銀が消費活動指数を公表する。海外では25年10〜12月期のユーロ圏実質国内総生産(GDP)確報値が発表されるほか、2月の米雇用統計に対するマーケットの関心が高い。これ以外では、1月の米小売売上高、12月の米企業在庫、1月の米消費者信用残高などが開示される。なお、この日から15日までの日程で冬季パラリンピックがイタリア(ミラノ・コルティナなど)で開催される予定。(銀)

出所:MINKABU PRESS
配信元: みんかぶ

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